自分で考えて動く部下が育つすごい質問:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
コミュニケーションの様式には、指示、命令、説明、激励、期待、共感、指摘、質問、示唆、叱責などがあり、部下のタイプ、育成場面に応じてどれがもっとも効果的かを判断する必要がある。
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- いちいち指示しないと動かない
- 言われたことはやるが、自分の頭で考えない
- やさしく言っても変わらない
- きつく言っても、すぐ元に戻る
- その都度、注意しても同じミスを繰り返す
あんなに言ったのに部下や後輩に「伝わっていない……」と感じたことはありませんか。昭和の時代だったら、「お前、人の話を聞いているのか!」と机をたたいて叱りつけたい場面でも、令和の現在、そんなことをしたらパワハラといわれてしまいます。
しかも、新人は「ゆとり世代」から「悟り世代」に代わり、部下を育てるのに効果的コミュニケーションの様式も変わりつつあります。
部下育成の本質というのは、相手の「行動変容」を促すことにあります。つまり、行動が変わらないということは、その指示や命令、説明の仕方に原因がある可能性も考えられるわけです。そういう意味では、見本、手本を示さなければ、相手に伝わらないことを説明ですまそうとする場面があまりに多かったりして……。
コミュニケーションの様式には、指示、命令、説明、激励、期待、共感、指摘、質問、示唆、叱責などがあります。部下のタイプ、育成場面に応じて、どの様式がもっとも効果的かを判断して、コミュニケーションを取ることになります。
例えば、新人や若手でまだスキルが発展途上にある部下や後輩には手本を示しつつ、指示、命令、説明を繰り返してレールに乗せるしかありません。しかし、若手であっても、ある程度のスキルを持っていて、モチベーション高い部下に指示、命令、説明を繰り返してしまうと、「そんなこと、分かっているのに…」と細かいことに口を挟む上司にうんざりして、やる気を落としてしまうのです。
そうした部下には期待や示唆のほうがよっぽど効果的です。「あの人、言い方うまいよね」と周りからうわさされる上司はこうした様式を使い分けている共通点がありますが、さらに行動変容を促す「質問」を多用する傾向があります。
コミュニケーションの様式とそれを意識するだけで、確実にあなたの部下育成能力も高まるはずです。実際の使用場面に役立つよう以下にその具体例を紹介しますので、参考にしてください。
「やり切る」気持ちが希薄な部下・後輩に対して
<GOODな言い方>「思い切って、〇〇だけやってみようか」
<ポイント>やることを絞ってあげて、集中体験を経験させる
<NGな言い方>「なんで、できないの?」
<ポイント>そう問われても、回答できず、問い詰められる圧迫面接になるので、逆効果
「やること」と「やり切る」こととの違いが分からない
「やり切る」気持ちが希薄な部下・後輩や新人の存在がもっとも顕著になるのは、営業部門です。目標や予算に対し9割以上の受注をあげて、もう少しで目標達成するのに、そこでやめてしまって最後の最後まで数字を積み増そうという動きをしないタイプです。
「目標達成意欲が低い」「最後まで粘らない」「最後までやる気がない」と評されたりもしますが、残念なのは、ずっと努力を継続して数字を追いかけ、9割までは来ているのに、最後の数字を積み上げる意識や熱意だけが足りないためか、惜しいところで未達になることです。
そもそも、目標に対して5割、6割の数字で未達成の営業パーソンと9割台で未達の営業パーソンはともに「未達成」ではあるのですが、根本的な違いは9割台で未達成の場合は、かなり低い難易度の行動を取るだけで、目標達成が可能になることです。もっとも目標達成の可能性の高い人といってもいいでしょう。ですから、営業マネジャーはこうした「惜しい」営業パーソンへのマネジメントを強化することが、全体の業績を上げる近道となります。
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