50歳からは、「これ」しかやらない「会社人生」の上手な終わらせ方:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
50代の「焦り」の正体は「迷い」。50代になるとその後のビジネス人生の選択肢も多過ぎるくらいにあるし、それを考える時間的な余裕、心の余裕もできているので、余計に迷う。では、どうすればいいのか?
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
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50代になった途端に「定年退職」や「役職定年」がリアルになり、時に「焦り」に似た気持ちが沸き上がってくるといいます。40代の「漠然とした不安」とは異なる50代の「焦り」……。
その「焦り」の根っこにあるのは、50代になったのに;
- 何も成し遂げていない
- 結局、何もできていない
- 何かやり残しているのではないか
という思いです。
ビジネスパーソンとしてのゴールがハッキリ見えてきたことによって、「何も成し遂げていない」という実感や「何がやり残したのではないか」といった思いに駆られるのは、誰しも「やり切った」という充実感を味わいたいからに他なりません。
残された時間への意識が高まるほどに、満たされていないことに敏感になるのは無理もないことです。
さらには40代は仕事でも、家庭でも「やるべきこと」に追われていたので、目の前のことに集中していればよかったので迷う暇などありませんでした。そうしたことから解放された50代だからこそ迷うということも起こります。
ところが、50代ともなると子どもにも手が掛からなくなりますし、仕事でも管理職となったり、一丁上がりの世代になったりしていますので、現場からは退いて指導役的、補佐的な役割になっていることも多くなります。そのため時間ができ、自分のことを考える気持ちの余裕も持てるようになります。
その考える時間や余裕と関連するのですが、実は、50代の「焦り」の正体は「迷い」です。人間、選択肢が多過ぎるほうが迷いますし、可能性がなければ迷いません。可能性があるから、どうしたらいいかが分からなくて迷うのです。
40代までは目の前の「すべきこと」で忙殺されていて、迷う暇なんてなかった。ところが、皮肉にも、50代になるとその後のビジネス人生の選択肢も多過ぎるくらいにありますし、それを考える時間的な余裕、心の余裕もできてしまっているので、余計に迷ってしまうのです。
では、どうすればいいのか? 人生の主導権を取り戻す
自分がどう考えるかより、上司や組織がどう思うかを忖度し続け、会社からの評価を気にして、指示、命令に従い続けた宮仕え人生。その結果、「自分はどうしたいか」が分からなくなってしまった人も少なくありません。そう“思考停止”とやゆされる状態です。
ところが、定年退職となった途端にその状況は一変します。
仕事も職場も何をやるかも全て「じぶん」で自由に選べるのですが、あまりに長い“思考停止”状態だったために、頭の中にその回路が復活するのに時間がかかるのです。
ですから、その回路を復活させるためのリハビリを50代になった段階でスタートし、役職定年後、間髪入れずに自身が主導権を持って、どう生きたら一番ハッピーなのかという基準で、その後の人生設計をし、定年退職後にはその計画の一歩目を踏み出してほしいのです。
50代は人生の“主導権を取り戻すための10年”といってもいいでしょう。そのためには“自分勝手”でちょうどいいのです。
例えば、製造畑一本を歩んできたAさんは55歳の役職定年を前に、会社に提言し、「品質アドバイス部」なる1人部門を立ち上げてしまいました。「年下の上司の下で働くなってまっぴらごめん」という理由からでしたが、これがベテランの知恵を借りたい現場からの要請が引きも切らないそうです。
食品メーカー勤務のOさんは、やはり55歳で関連会社に出向しましたが、「どう考えてもこの仕事では自分の強みは生かせない」と直接談判して元の職場に戻してもらいました。
こうした行動を「わがまま」と思う人もいるかもしれませんが、これからの50代にはある意味こうしたわがままも必要だと思うのです。
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