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自己流では勝てない。セオリーを学び、プロフェッショナルを目指せビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

『世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた』に学ぶプロフェッショナルの戦い方。

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 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。



『世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた』

 「セオリーを学ばない現場第一主義のビジネスパーソンは、自己流のケンカ自慢と同じ」というのが、「100円のコーラを1000円で売る方法」をはじめ、累計100万部を超えるベストセラーを世に出してきた永井孝尚さんだ。2021年11月に『世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)を出版した永井さんに、話を聞いた。

素人のケンカ自慢は、プロに勝てない

 ボクシング元ミドル級世界チャンピオンの竹原慎二さんと暴走族元総長やケンカ自慢がスパーリングする様子が、ユーチューブでバズっています。スパーリング前の彼らは、竹原さんを完全になめきっています。でもスパーリングが始まるとまったく勝負になりません。相手がケガしないように手加減してパンチを繰り出す竹原さんに対し、彼らはフルボッコ状態。スパーリング後、竹原さんは彼らにこう言っています。

 「ケンカは負け知らずかもしれないけど、結局素人のケンカだろ。俺らプロには勝てないよ。世の中、甘くないと分かってくれたらいいんだけど」

 若い頃ケンカに明け暮れていた竹原さんは、プロボクサーを目指して上京しボクシングジムに入門。そしてボクシングのセオリーにもとづき鍛錬を繰り返し、世界を獲りました。

 ビジネスの世界も同じです。プロのセオリーがあります。セオリーを学ばない現場第一主義のビジネスパーソンは、自己流のケンカ自慢と同じです。狭い世界ならそれなりに強いでしょう。しかしセオリーを学び、ビジネスの実戦で磨き込み、世界で戦ってきたプロフェッショナルにはかないません。

 セオリーを学び、ビジネスのプロフェッショナルになる一つの近道は、世界の起業家が読む経営理論の必読書を読むことです。成功した起業家には、読書家が多いのです。例えばマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長、星野リゾートの星野佳路社長は大の読書家として有名ですし、私のまわりで成功している起業家たちも、実に多くの本を読んでいます。

 多忙な起業家が時間を捻出して読書するのには、理由があります。読書はビジネス体験を短時間で大量に疑似体験できます。膨大なビジネスのシミュレーションが低コストでできる読書のコスパは、極めて高いのです。成功した起業家に読書家が多いのは、読書で膨大な脳内シミュレーションを行い、自らの経営判断を積み重ねた結果なのかもしれません。

 ヒリつくような厳しいビジネスの最前線で戦う起業家の読書術は、私たちがいちばんまねしやすい学びの方法論です。ただ問題は、どの本を読むべきかです。

経営理論の定番書・最新書50冊を厳選

 経営理論書は一般的な本でも400ページ。600ページを超える大著もあって、1冊読むだけでも時間がかかります。忙しいビジネスパーソンは何十冊も読めません。

 そこで世界の起業家が学んでいる経営理論の必読書50冊を厳選し、エッセンスを紹介したのが本書です。「要はどう役立つのか、を知りたい」という多忙なビジネスパーソンのために、「仕事でどう生かせるか」「分かりやすさ」「面白さ」の3点を重視。次の6章構成で経営理論を俯瞰できるように、1冊あたり5分でエッセンスをつかめるようにしています。

経営と組織の10冊

 経営とは結果を出すこと。時代とともに経営の在り方も変わってきた一方、変わらない大切なこともあります。さらに経営を考える際には、組織構造も合わせて考える必要があります。そこで経営の基本と組織を学ぶための10冊を取り上げています。

(1)『現代の経営 〈上・下〉』 P.F.ドラッカー

(2)『完全なる経営』 アブラハム H.マズロー

(3)『マネジャーの実像』 ヘンリー・ミンツバーグ

(4)『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』 アンドリュー S.グローブ

(5)『プロフェッショナルマネジャー』 ハロルド・ジェニーンほか

(6)『HARD THINGS』 ベン・ホロウィッツ

(7)『新版 組織行動のマネジメント』 スティーブン P.ロビンス

(8)『組織は戦略に従う』 アルフレッド D.チャンドラーJr.

(9)『学習する組織』 ピーター M.センゲ

(10)『組織の罠』 クリス・アージリス

仕組みの13冊

 組織には、仕組みが必要です。組織の仕組みには、定番の考え方があります。一方で時代の変化とともに変わってきた部分もあります。そこで組織の仕組みを学ぶための13冊を取り上げています。

(11)『競争優位の戦略』 M.E.ポーター

(12)『仮説思考』 内田和成

(13)『経営者になるためのノート』 柳井正

(14)『OODA LOOP』 チェット・リチャーズ

(15)『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法OKR』 ジョン・ドーア

(16)『失敗の科学』 マシュー・サイド

(17)『偶然の科学』 ダンカン・ワッツ

(18)『ザ・ゴール』 エリヤフ・ゴールドラット

(19)『リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。』 ジェームズ P.ウォマックほか

(20)『起業の科学』 田所雅之

(21)『はじめの一歩を踏み出そう』 マイケル E.ガーバー

(22)『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』 入山章栄

(23)『兵法三十六計』 檀道済(解説:守屋洋)

人材の9冊

 現代で必要なのは、従業員の情熱を引き出し、創造性を生み出し、組織の使命を達成することです。またカリスマリーダーではなく、むしろ弱さを隠さずに自分らしさを貫くリーダーが、人々の共感を生み出して組織を動かします。そこで従業員の情熱を引き出し、組織の人々を動かすための9冊を取り上げています。

(24)『ハーバードで教える人材戦略』 M.ビアーほか

(25)『WHYから始めよ!』 サイモン・シネック

(26)『THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法』 ダニエル・コイル

(27)『恐れのない組織』 エイミー・C・エドモンドソン

(28)『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』 アダム・グラント

(29)『1兆ドルコーチ』 エリック・シュミットほか

(30)『破天荒! サウスウエスト航空――驚愕の経営』 ケビン・フライバーグ/ジャッキー・フライバーグ

(31)『米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方』 L.デビッド・マルケ

(32)『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX』 リード・ヘイスティングス/エリン・メイヤー

お金の5冊

 会計や財務は敬遠されがちですが、基本は意外とカンタンです。理解すれば、ビジネスを大きく成長させられます。さらに情報社会になって一変した経済原理を理解するか否かで雲泥の差がつきます。そこでお金の基本をはじめ、情報社会におけるお金の考え方を理解するための5冊を取り上げています。

(33)『稲盛和夫の実学』 稲盛和夫

(34)『起業のファイナンス増補改訂版』 磯崎哲也

(35)『会計の再生』 バルーク・レブ/フェン・グー

(36)『無形資産が経済を支配する』 ジョナサン・ハスケル/スティアン・ウェストレイク

(37)『情報経済の鉄則』 カール・シャピロ/ハル・ヴァリアン

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