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コミュニケーションを円滑化し、チームを活性化する「超ファシリテーション力」ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

記者会見や社内会議、イベント、飲み会など、せっかく人が集まったのに、残念な議論になってしまったという経験はないだろうか。人が集まる場所では、きちんと仕切ることができる人がいれば効果的な議論が可能になる。

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『超ファシリテーション力』

 ライブ配信で開催されているITmedia エグゼクティブ勉強会に、テレビ朝日アナウンサーで、インターネットテレビ局「ABEMA」のニュースチャンネルにおいて、平日の21時から2時間生配信されている報道番組「ABEMA Prime」の進行役でもある平石直之氏が登場。2021年11月発行の著書「超ファシリテーション力(アスコム)」の内容に基づき、「部下のチカラを最大限に引き出す『超ファシリテーション力』」をテーマに講演した。

会議で成果が上がり、チーム力も高まるファシリテーション


テレビ朝日アナウンサー、ABEMA Prime進行 平石直之氏

 「ファシリテーションというテーマは、テレビの番組だけでなく、人が集まるさまざまな場面で役に立つのではないかと感じていました。きっかけは、ファシリテーションに関する記事と動画を公開したことです。この記事と動画が好評で、出版社から“本にしませんか”という話があり、まとめたのが『超ファシリテーション力』です。動画は、現在もYouTubeやTwitterから見ることができます」(平石氏)。

 なぜいまファシリテーションが注目されているのか。

 「ファシリテーションは、議論や会議で成果を上げるだけでなく、チーム力が高まることを実感しています。ファシリテーションの概念は、以前からありましたが、ここにきて一層注目されている理由としては、コロナ禍でリモート会議やチャットなどのコミュニケーションが増え、組織に属している感じがしない、チームの役に立っているのか分からないなど、コミュニケーションが難しくなったことが挙げられます」(平石氏)

 また、利害のぶつかり合いにより、社会のあちこちに分断が生まれていることもファシリテーションが注目される理由の1つ。ロシアによるウクライナ侵攻のような世界的な問題から、ネット上での誹謗中傷、日常のささいな問題まで、さまざまな分断が発生していて、それらがSNSなどでこれまで以上に顕在化している。企業などでは、自分の組織を守るため、自分がいる部署の利益のためという思いで会議に臨むため、利害がぶつかることになる。しかしこの分断が、本当に会社のためになるのかを考えてほしい。

 平石氏は、「社会が分断する中で、どうすれば橋渡し役になれるのか、そこにファシリテーションの力が求められます。人が集まる場を大事にし、うまくコミュニケーションができれば、会議や打ち合わせなど、1つ1つの点がつながり、線になります。ファシリテーションは、リモートを含めた人の集まる場の成果を最大化する技術です」と話す。

全体を意識して会議をまとめるファシリテーター

 人が集まる場を作れば、必ずいい結果につながるわけではない。会議の仕切りが悪ければ、いやな思いをする参加者が出てくる。その結果、会議が嫌になる、組織が嫌いになる、もう会議には出たくないということになってしまう。そこで組織全体を意識して、会議をまとめるファシリテーターが求められる。ファシリテーターは、人が集まる場で、議論に負ける、恥をかく、いやな思いをさせるなどといったことがないように注意を払ってほしい。

 平石氏は、「会議をセットするだけでなく、ファシリテーション力により、いかに結果を出すかが問われています。テレビ番組でも、お互いに話し合えばうまくいくというほど甘いものではなく、常にリスクを抱えています。参加者が3人いれば、1+1+1=3ではなく、4とか、5とか、10を目指していますが、結果として1にもならないこともあります。そこで組織のリーダーに、ファシリテーターの必要性に気付いてほしいのです」と話す。

 ファシリテーションの要となる技術は、大きく以下の3つである。

(1)準備力

 ファシリテーターは、責任をもって場を仕切る自信を持つこと。そのためには準備が大切で、最大の力を発揮するには準備が9割である。どんな人が集まるのかという、人を軸とした準備、何を話し合うかという議論のテーマを軸とした準備の2つである。

(2)聞く力

 本番では、ファシリテーターが主体的に話すことはほとんどない。参加者に自由に議論してもらい、いろいろな意見を聞き、受け止めて、最適な人にパスをすることで、より議論を深めていくことが必要。聞く力こそが、ファシリテーションの要である。

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