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コミュニケーションを円滑化し、チームを活性化する「超ファシリテーション力」ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

記者会見や社内会議、イベント、飲み会など、せっかく人が集まったのに、残念な議論になってしまったという経験はないだろうか。人が集まる場所では、きちんと仕切ることができる人がいれば効果的な議論が可能になる。

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(3)場を作る力

 議論が楽しい、学びがある、気付きがある場にするためのムード作りが大事。ファシリテーターの雰囲気がそのまま場の雰囲気になるので、場を作る力は重要になる。

コミットと心理的安全性で部下の力を最大限に引き出す

 部下の力を最大限に引き出すファシリテーションでは、(1)コミットさせること、(2)心理的安全性を作ることの2つが欠かせない。この2つは、会議で良好な上下関係を作っていくうえで非常に重要になる。それぞれの立場や、議論の前提となることを知っているか知らないか、専門性の高さ低さ、初めての人とずっと参加している人などの違いが新しい発見を生み出す。いつも同じメンバーだと新しいアイデアは浮かびにくい。

 「せっかく会議に集まっているので、部下に、コミットさせる、参加させることを心掛けてください。参加している感、組織に属している感、自分も関わっている感を出すためにはコミットさせることです。またこの場では何を言っても大丈夫、このファシリテーターはちゃんと受け止めてくれる、意見が対立してもまとめてくれるという、心理的安全性を作ることも必要です」(平石氏)

 コミットさせるために欠かせないのは全員参加感である。リモート会議でも、リアルの会議でも、開始時に「必ず1度は意見を聞きますので考えておいてください」と言っておけば、参加する意識は高くなる。ファシリテーターは、意見が出たら全てを肯定的に受け止めること。そのためには聞く力が重要で、いい意見も、的外れの意見もポジティブに拾うことを心掛けてほしい。逆の意味では、「不意打ち」は禁止である。

 平石氏は、「リモートで、カメラをオフにしているのに、急にふられるとびっくりするし、恥をかくし、いやな思いをします。ファシリテーターは、こうした状況を絶対に作ってはいけません。だからこそ、あらかじめ“必ず出番がある”ということを宣言しておいてください」と話している。

ファシリテーションは組織に欠かせないスキルの1つ

 初対面、初参加の人と議論をする場合、最初は誰でも緊張する。そこでファシリテーターは、初対面や初参加、ゲストなどのバックグラウンドを事前にしっかりと調べておき、寄りそう姿勢が大切になる。また実際に議論をしていく中では、反復、要約、同調などで、発言を理解している姿勢を示すことが大事になる。

 平石氏は、「ファシリテーターは、サッカーのボランチのようなポジションだと思っています。その通りですね、こういうことですよね、おっしゃる通りですねなどの魔法の言葉をうまく織り交ぜることで、参加者は気持ちよく議論できます。人の意見を聞いて、考えて、発言者の思いを引き出すキーワードを積極的に拾っていってください」と話す。

 ファシリテーターは、次の人に話を振る場合、不意打ちは嫌がられるので、前の人が話をしているときに、次に振る人とアイコンタクトを取ってみてください。そうすると話したいか、話したくないかを感じることができる。基本的には、話したい人は目を合わせ、話したくない人は目をそらす。人の話を聞きながら、周りのリアクションに目を配ることも忘れてはいけない。リアクションを見ると、話が面白いか、面白くないかの判断にもなり、進行もシャープになる。

 「グループトークは、“大なわとび”のようなものです。ファシリテーターは、なわを回す役割で、1人が飛んでいるとき、3人が飛んでいるときで、それぞれにコントロールします。なわに入れない人がいる場合、回すスピードを落として、みんなが入れるようにします。また人が集まる会議は団体戦なので、上司であっても協力を求めます。ファシリテーターは、その権限を持っています」(平石氏)

 ファシリテーターにとって、会議のムード作りは非常に重要。ファシリテーターの度量が、その場の許容度にもつながる。そこで、明るい表情で、声のトーンを上げて、リアクションを大きくしてみてほしい。苦手な人がいても、いいところを見つけ、自分から好意を示す。自分から好意を示さないと、相手はさらに警戒する。派閥を作らず、全体の利益を優先し、「勝った」「負けた」の議論にしないこと。

 平石氏は、「ファシリテーションは、組織に欠かせないスキルの1つといえますが、意外に見逃されているのではないかと感じています。3人以上が集まる会議にはファシリテーションの概念を取り入れ、準備をして有意義なものにすることが必要です。さらに、今日の会議ではここまででしたが、次回は結論まで出しましょうと、次の点につなげ、線にしていくことを心掛けてください」と話し講演を終えた。

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