欧州系グローバル戦略コンサルティングファームのローランド・ベルガーと無形資産/ESG等のデータ解析・可視化企業のアスタミューゼの、共同で日本の脱炭素に貢献するスマートモビリティ領域に関する分析レポートです。
第2回では、業界横断でのトレンド分析を実施の上、個別領域のトレンドや主要プレイヤーの動向について分析している。
(「脱炭素に貢献するスマートモビリティ領域分析および同領域の日本企業分析 第1回」はこちら)
業界横断でのトレンド変化
本章では、まず全業界横断での価値のトレンドを参照し、そのマクロトレンドとの関連をひもとく。下図に、モビリティ業界の4つの価値大分類(低環境負荷、軽量化、デジタル化、サービス化)別の特許出願件数の推移を示す。
これら各特許のカテゴリをモビリティ業界の4大トレンドCASEに照らすと、Automated/Connectedは「デジタル化」、Sharedは「サービス化」、Electricは「低環境負荷」にそれぞれ対応する。
この対応関係の中、Electric, Automated/Connected, Sharedそれぞれの領域には時系列でのトレンドが存在する。Electricでは法規制が主なドライバーとなっている。CO2削減規制への対応が、OEM/サプライヤー各社の生き残りに必須であることから、各社とも早期から主体的に技術開発に取組みを行っている。
・Automated/Connectedは、核となる技術の進展が主なドライバーであり、ハードルとなっていたコア技術(AI・センサ)の開発が’10年前後に一気に進み、自動車業界の変革に大きく寄与している。
・Sharedは、これまではハード(車両)を提供するOEMと、シェアードサービスを提供するサービス事業者で一定程度すみ分けがなされており、メーカー側は積極的には取り組んでいなかった領域である。しかし近年では、Tech系企業新参プレイヤーの事業参入も進み、OEMもモノからコトへの事業モデル転換を図る中、ようやく技術開発が進みつつある領域となっている。
加えて、以上の価値分類をさらに細分化した9分類を見てみると、「自動化」・「電気ハイブリッド駆動(以下「電動化」)」の2軸が、出願数の観点で大きく抜きんでている。これら2軸は、いずれも未来のモビリティの標準装備として必要となりうる基盤技術であり、OEM・サプライヤー各社ともに、生き残りをかけて研究開発投資を進めている状況が見て取れる。
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