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第7回:その「1on1」、間違ってませんか? はやりのHR施策が的を外しているケースマネジメント力を科学する(1/2 ページ)

猫も杓子もという感じになってきた「1on1」だが、中には「なんちゃって1on1」「勘違い1on1」も多く、逆に組織問題となっているケースも散見される。

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 エグゼクティブの皆さまが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。前回に続き、キャリア自律やリーダーシップ論を専門とし『起業家のように企業で働く』『リーダーシップ3.0』など著書を多数出版している合同会社THS経営組織研究所の代表社員小杉俊哉さんと、当連載筆者の経営者JP代表井上との対談の内容から、ポストコロナに向けてのリーダーシップの在り方についてお届けします(2022年02月24日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:ポストコロナのリーダーシップ」)。

1on1の実施率、1on1に使っている時間は?

 ここ3〜4年ぐらい「1on1」が注目されています。猫も杓子もという感じになってきた「1on1」ですが、中には「なんちゃって1on1」「勘違い1on1」も多く、逆に組織問題となっているケースも散見されます。

 トークライブ参加者の皆さんに聞いたところ、1on1を「実施している」という人が65パーセント。「実施していない」が35パーセントでした。参加者の皆さんの会社の3分の2は1on1を実施していました。頻度では、「月1」が45パーセント、「週1」が10パーセント、「隔週」が5パーセント、「数カ月に1回」は5パーセントでした。

 この結果に対して小杉さんは、「“月1”というのはどうなんでしょうね。MBOのフィードバックはおそらく半年に1回、総括として1年に1回振り返って、年2回ぐらいですかね。それよりはずっと1対1の対面で話す頻度は増していますが、“月1で大丈夫ですか?”とも思ってしまいます」とのこと。

 また、小杉さんとしては1回あたりでどれくらいの時間を使っているのかも気になるところだという指摘がありました。これについて参加者の皆さんにチャットで聞いたところ、30分というコメントが複数ありました。実施頻度との掛け算で判断が分かれますが、コメントでは「週1、30分」という声があり、部下の人数にもよりますが、それなりの組織を持っているマネジメントの人とすれば、「週1、30分」は1on1に割く時間としては多いですね、という話になりました。

デジタルネイティブ世代に対して望ましい1on1の実施頻度は?

 「リアルタイムフィードバック」という言葉があります。

 特に40代以下の「ミレニアル世代」や25歳以下の「Z世代」は、どちらもデジタルネイティブで、Z世代は物心ついた頃にはすでにスマホやパソコンを触っていたし、ミレニアル世代も高校生ぐらいから携帯を使っていました。これらのツールとの接触度合いと、物事のスピード感はおおむね比例しています。アナログ世代の人たちが手紙や固定電話でやりとりしていたときには、コミュニケーションの間隔が月単位、週単位、せいぜい日単位だったものが、デジタルネイティブでは数時間から即時となっています。

 今や多くの企業でデジタルネイティブ世代が、おそらく社員の過半数になっています。その彼らに「月1で大丈夫ですか?」という印象は確かにあります。せめて週1ぐらい必要なのではないかと。

 小杉さんは言います。「というのは、彼らより上の世代、さらに上のわれわれの世代だと、半年に1回振り返って「過去の君はどうだった」とか「あの時もっとこうしたほうが良かったんじゃない?」と言われても、「ああ、なるほど」と聞くことができます。ただ、今のそういう世代の人たちは「3カ月前とか、半年前とか、そんな前の話をしないでくれよ」と思うような気がするんです。

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