脳は何歳からでも若くなる 若さを維持する人のちょっとした習慣術:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
脳の老化現象である「老人脳」は後天的な原因で起きており、日々のさまざまな習慣の積み重ねによって変えることができるという。
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ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
人間の脳が生活習慣や思考習慣でどう変わるのか、成果をあげる人とあげられない人は脳にどういう差があるのかなど、多岐にわたる研究に携わってきた脳科学者・西剛志氏がいつまでも若い脳でいられる習慣術について話した。
毎日の中でできる「脳にいい暮らし方」
歳を取ると、周りが気にならなくなる、記憶が曖昧になる、同じ主張をくり返す、感情的になる……年齢とともにそういう傾向になる人がかなりいます。こういう行動を知らず知らずにとってしまうのは脳の老化現象の一種です。私はこれを「老人脳」と呼んでいます。
しかし、私のこれまでの研究と世界中の脳の老化研究から分かってきたことは、脳の老化現象である「老人脳」は後天的な原因で40%起きており、日々のさまざまな習慣(思考×行動)の積み重ねによって変えることができるということ。また、習慣を変えることで、老人脳を遠ざけることができるのです。
まず、私の知人の話をしましょう。彼は、「毎日1つ、何か新しいことをする」と決めています。この人は、ほんのちょっとのことでもいいので、いままでやっていなかったことをやると自分に課していて、それが習慣化されているそうです。
例えば、スーパーやコンビニで買ったことがないお菓子を買う、家の近所でも通ったことがない道を通ってみる、見たことがないテレビ番組を見てみる、レストランでなかなか頼むことがないメニューを注文してみる……。なんでもいいそうです。
その話を聞いて、この人は「脳にいい暮らし方」を知っているなと思いました。
新しいことをすることは、脳にいいという話をしてきましたが、それを習慣化することが簡単ではない人もいるようです。そういう人の話を聞いていると、「新しいこと」というのをちょっと大げさに考えすぎてしまっていることがあります。この知人のように、「ちょっとしたこと」で十分です。それだけで、脳は変化します。
例えば、散歩や通勤で歩いている人であれば、その道を毎日変えてみる。図書館に行く、書店に行くという習慣をつけることも脳にいい行為です。実は、読書の習慣がある人ほど健康寿命が長くなるという研究報告もあります。
「新しいこと」は、行動を変えるだけでなく、環境を変えることでもOKです。花やグリーンを部屋に飾ってみる、部屋の模様替えをする、寝る部屋を変えてみる、枕の位置を逆にしてみる……ちょっとしたことでいいので、ぜひ実践してみてください。
脳の老化スピードが速い人がよく使う言葉とは?
- あー、疲れた
- もう、嫌になる!
- そんなことできるわけない
こんな言葉を、日頃何げなく使っていないでしょうか? 実は、こうした言葉は脳に影響を及ぼしています。「脳のプライミング効果」というものです。
ニューヨーク大学の実験でこのようなものがあります。学生のグループを2つに分けて、言葉の羅列で文章をつくってもらうという実験です。1つ目のグループには「グレー」「孤独」「忘れやすい」「退職」などの年配者のような言葉を使ってもらう。2つ目のグループにはニュートラルな言葉で文章をつくってもらう。「のどがかわいた」「キレイな」「プライベート」などです。そしてグループごとに移動をしてもらったところ、なんと年配者のような言葉を使ったグループメンバーの歩くスピードが遅くなってしまったのです。これには私もビックリしました。
この実験から分かることは、使った言葉がその後の行動に影響を与えるということです。どういう言葉を使うかで、無意識のうちに行動が変わります。どういう言葉を使うかは、大切です。
次の言葉は脳にマイナスになる「使わないほうがいい言葉」です。これらの言葉は、使った瞬間に脳が悪い影響を受けてしまいます。
例えば、「疲れた」と言った瞬間に、疲れたイメージが脳に出てきます。その結果、疲れたようなパフォーマンスをしてしまい、本当に疲れた状態になってしまうのです。実際にはそこまで疲れていなくても、脳が勝手に疲れた状態をつくり出してしまうことになります。
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