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第13回:経営者力のOSとなるEQ。今すぐできる、EQ力を高める3つのトレーニング法マネジメント力を科学する(1/2 ページ)

5つの力からなる「経営者力」を下支えしているのは、EQ。

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 エグゼクティブの皆さまが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。

 過去3回に続き、いまグローバルのトップクラス経営者たちから2020年代の必須ビジネススキルとして認識されている「EQ(Emotional Intelligence Quotient、心の知能指数)」について、株式会社EQ会長の高山直さんと当連載筆者の経営者JP代表 井上との対談の内容からお届けします(2022年10月13日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:EQを高めて経営者力を発揮する!」)。

経営者力とEQの関係

 経営者JPでは「経営者力」というものを明らかにしています。それは5つの力からなる、と。


「5つの力」

 骨格として「描く(構想力)」「決める(決断力)」「やり切る(遂行力)」の3つの力。これらはリーダーだけでなく本来は万人に等しく求められるものですが、マネジメントの皆さんは特にこうした力を発揮することが必須です。

 そして組織人であるならば「リーダーシップ力」が当然必要。これは3つの力をレバレッジさせてくれるものなのです。さらに「学び続ける力」を一番外側に持ってきたのにも意味があります。これが「経営者力」を全体的に増幅、加速させるのです。

 高山さんは、この5つの力をEQが下支えしていると解説しています。

 例えば「諦めないで最後までやり切ること」もEQ。「決断力」に関しては、高山さんは「判断はIQ」「決断はEQ」と整理しています。

 判断とは「成功確率の高いほうに舵を切ること」。メリット・デメリット・分析・リスクを全部洗い出して、「こっちのほうがいいね」と成功確率の高いほうを選ぶのが判断。

 それに対して、決断とは覚悟、「退路を断ち切る」という意味があります。決断には時間軸が入るとも高山さんは言います。「我が社が成長するために、あえてここはリスクを取ろう。もし失敗しても将来的に社員は成長する。会社も強くなる」という、将来という時間軸のことです。

 高山さんが兼ねてから言っていて、僕もずっと使っているのが「人は理屈で納得して、感情で動く」というフレーズです。言ってみれば、こうした5つの力には全部「感情能力」が関係していて、OS・下支えとなっています。感情との関係はすごく深いし、「どう感情をうまく使うのか」というEQが5つの力の発揮度合いの鍵を握ると思います。

「感情」は「行動」に影響を与える。言葉や表現を磨く意味

 では、EQを高めていくには、どうすればよいか?

 ここからEQトレーニングの考え方を紹介していきますが、「感情は行動に影響を与える」というEQ理論の定義があります。

 私たちは悲しいと泣き、うれしいと笑います。一方で、泣けば悲しくなり、笑えばうれしくもなるのです。だったら「行動に影響を与えれば、感情が変わるんじゃない?」という行動心理学に基づいた考えでEQトレーニングは開発されています。

 経営者JPでEQを経営者やマネジメントの人材開発の軸にしている理由の1つは、「トレーナブル(訓練・習得可能)である」からなのです。

 1つ目のトレーニングは、「感性を言語化する」です。

 言葉と感情は密接に関係しているので、「言葉遣い」や「言葉の選び方」に意識を向けることが大事です。言葉が適切、的確ではじめて感情は整理できます。感性の言語化とは、具体的には「感情語彙力」を豊富に持つためのトレーニングのことです。

 例えば季節の食材があります。読者の皆さんは、旬の味や風味の豊かさを言語化しているでしょうか? 単に「おいしいね」で済ませていませんか。

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