エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。
マネジャーやリーダーが抱える悩みやプレイングマネジャーの仕事の任せ方などについて、ベストセラー『できるリーダーは、「これ」しかやらない!』の著者で、らしさラボ代表の伊庭正康さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けする第22回です。(2022年9月9日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:できるマネジャーは、「これ」しかやらない!」)
ハッキリ言うのが苦手なリーダーは「役割に徹する」ことで言えるようになる
最近、サーバントリーダーシップなど支援型のリーダースタイルに重きをおくようになったことと相まって、「やり方もボトムアップ、方針もボトムアップ」というスタイルに陥るマネジャーがいます。
このマネジャーが、最初は受けがよかったものの、実は「どの意見にもイエスと言っていたこと」がバレてしまった。それで「全部にいい顔をしているだけじゃないですか」と、メンバーみんなの不満が一気に噴出してしまったのです。
これに対して伊庭さんは、ハッキリ言うのが苦手な人には「役割に徹する」ことを勧めるとアドバイスします。
例えばパナソニックコネクティッドソリューションズ社の樋口社長は、「経営者の役割とは何か? それは、お客さまの期待を超え続けることである」と。
そう考えれば、社内の機嫌を取ることも大事かもしれませんが、それ以前にまずは、お客さまの期待を超え続けることが大事。だから、誰よりも「お客さまのことを知るという役割」に徹する。
樋口社長は基本的に、「お客さまはこういうことを期待しているので、どうだ?みんな」というアプローチに役割として徹しているそうです。分かりやすいですよね。
リーダーが持つべき、2つのアプローチ
伊庭さんは「リーダーには2つのアプローチが必要だ」という話をしているそうです。
それは、「方針はトップダウンアプローチ、方法はボトムアップアプローチ」です。
「俺はこれがやりたい。この指、止まってもらっていい?」という時に、「いいっすね、その考え!」と、指に止まる人が何人いるか。つまり、指に止まる人が多数いるからこそ、方針がトップダウンでも許されるのです。
「この方針いいっすね」「この指止まります」「止まります」という声をいかに引き出すか。それには、「シェアナンバーワンになろうぜ!」とか「よし、今度100億円を目指そうぜ!」といった「われわれが幸せになるためにがんばろう」というだけのリーダーではダメだと伊庭さんは指摘します。
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