デジタル時代の思考法と自己成長のセルフチェック:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
デジタル人材が、ビジネスの現場でどのように求められているのだろうか。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
日本中の企業、あらゆるビジネスシーンでDX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション:ここではデジタル技術によって業務を向上・効率化すること)が求められている中、デジタル人材が引く手あまたです。
一般的なデジタル人材の定義は、「デジタル技術を活用することで組織や企業に新しい価値の提供ができる人材」といったところでしょうか。デジタル技術と聞いて浮かぶのは、AIやIoT(Internet of Things/あらゆるモノをインターネットに接続する技術)、データプログラミングといった言葉かと思います。
もちろん、それも間違っていません。ただ、私の考えるデジタル人材の定義はもう少し広いものです。例えば、必ずしもエンジニアとしてプログラムが書けなくても、IT職種の経験がなくてもデジタル人材にはなれますし、文系出身や営業職でもデジタル人材として活躍できるでしょう。
「プログラムが書けること」よりずっと大事なことがあるからです。むしろ私は、大手企業に勤める優秀な営業職の人こそCDO(Chief Digital Officer/デジタル部門の最高責任者)になればいいのに、とすら思うことがあります。本書は、私の考えるデジタル人材が、ビジネスの現場でどのように求められているのかを示しています。
思考法(システムシンキング)
思考法はいつも心がけています。日々仕事をしていると顕在化した事象を短期的に解決して、ついつい結果を求めてしまいがちです。顕在的なことは目標設定もしやすく、短期的に結果を出すと評価もされやすいです。そして、1つの事象を解決すれば良いので難易度も高くありません。私も若い頃はとにかく目の前の課題、今年やこの四半期の目標を達成することに必死でした。今ももちろん短期的な目標や具体的なアクションアイテムは重要ですが、一方で、本質的な課題は潜在的、見えないところにあると思っています。
氷山モデルという考え方、思考法としてシステムシンキング(システム思考)というものがあります。システムシンキングは「複雑な状況の中で、視野を広げて、さまざまな事象のつながりや背景にある構造・影響関係への理解を深めながら、より根本的・本質的な問題解決に向けたレバレッジ(手の打ちどころ)に働きかける思考の在り方」です。メタ思考と言われることもあります。
例えば、私は現在DXを推進する責任者ですが、業績をあげたい、業務を改善したい、新規事業に取り組みたい、営業やマーケティングをデジタル化したい、いわゆる顕在的な事象に対して、打ち手をうつことが散見します。
単なる事象でしかないにも関わらず、課題と捉え、顕在的な事象の解決に勤しみますが、どうも根本的な課題解決になっていない。これはあらゆる会社や組織において、それを解決すると効果は出るのですが、以下のように氷山の下にある根本的なイシューが実は本来の課題であったりします。
またこの課題が解決策とシンプルに1対1の対になれば良いですが、これがまたいくつかつながっていたりします。このように氷山の上だけではなく、氷山の下ものぞいて、根本的なイシューをいくつかつなげて、課題解決をしていく。簡単ではないのですが、この思考法と行動を継続していくとこれまでとは違うレバレッジの効いた成果が出るようになります。
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