「再雇用でいいですか?」元ビルボードジャパンCEOが語る、定年後に稼げる人の準備術:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)
40代・50代のサラリーマン、企業人事担当役員、定年経験者への徹底したヒアリングを通じて明らかにした「リアルな定年後の真実」と、定年後に稼げる可能性を広げる準備とは。
優良なネットワーク構築が最大の鍵──40代から始める4つの準備
では、定年後に豊かに働くために、何を準備すればいいのか。北口氏が挙げるのは、40代からすべき4つのことだ。
1つ目は組織外の優良なネットワークの構築。「定年後に豊かに働くための最大の鍵は、社会に信頼できる人脈を持つことだ」と北口氏は語る。優良なネットワークを既に持つ人と、まず友達になる。そして、その人物の紹介から信頼できる仲間を増やしていく。
「出会いを大切にして、頼まれ事は断らずにできないと思っても即答せず、解決の努力をする。情報は止めずに、ギブが先、テイクは後という姿勢を徹底していくことが重要です」
2つ目に重要なのが、自分自身のブランドを築くことだ。会社の役職や業績とは別に、自分の名前で信頼されるブランドを作る意識を持つ。
「会社の看板ではなく、自分の名前で呼ばれるようになることを目標にする。ブランドは一朝一夕ではできないから、40代から、今から意識をして行動を積み重ねることが肝要です」
3つ目は、ライフキャリアシートを作ることだ。現在、1年後、3年後、5年後、10年後の人生と目標を記載して、仕事と家庭、趣味の両面から計画する。
そして4つ目は、ネットワーク分析。50代は人脈の量より質と深さを重視する段階になる。名刺管理アプリなどを使って、自分の関係の深さを1から5段階で評価して整理する。
独立の条件は「9割の売上見込み」──再雇用以外の選択肢を持つ
北口氏は、50代後半には、会社員としての責任を全うしながら、副業、顧問、プロジェクト型などの複数の仕事軸を持つことを勧める。
「定年前に、少なくとも9割の売上見込みを確保できてから独立を決断することが大事です」
独立は起業ではなく小さな事業だ。必要なのは安定した顧問料ではなく信用である。自分を安売りせずに、最初に決めた報酬ラインを守ることが信頼を生むという。
「70%の自信でも引き受けて、残り30%は引き受けてから補うために勉強をする。常に変化する姿勢こそが、独立後も成長し続けるための武器になります」
北口氏は、再雇用を否定するものではないと強調する。しかし、再雇用には年収激減・窓際扱いや人事権喪失といった現実が待ち受けている。
「せめて再雇用ともう1つの選択肢を、定年のときに準備しませんか。これが私が最も言いたいことです」
北口氏自身、本を出版してから、大企業の社員の相談に乗り20人が独立したそうだ。総務経験が長い人、入社時から営業担当の人など、とんがった仕事をしてなくても独立した。準備をしていれば独立して、再雇用よりも収入は大きく増える。心配な人は副業OKなところであれば、再雇用で働きながら自分で起業すればいい。
定年は終わりではなく、人生本番のスタートライン
北口氏は最後に、定年について考えることを先送りにしないでほしいと強調した。
「40代、50代の今から準備を始めれば、定年後の30年は必ず輝かしいものになります。サラリーマン時代よりも多く稼ぐことが、私は絶対にできると思います」
まず実行してほしいのが、家族との対話だという。60歳から90歳までの30年間にかかる生活費、医療、介護、子供の支援、趣味、旅行。ざっくりでもいいので全体像を見える化する。
そして、避けて通れないのが親の介護だ。介護はある日突然やってくる。だからこそ今のうちに家族、兄弟と役割分担を話し合うことが大切になる。
さらに、持っていてほしいのが挑戦する気持ちだ。「年齢を理由に何かを諦めてしまうのはとてももったいないことです。新しい資格を取る、ボランティアに携わる、地域活動に関わる、どんな小さなことでも構いませんので挑戦してください」
北口氏が定年後の成功者にヒアリングして見えてきた共通点がある。社外のネットワークを作っていたこと。自分の専門性、経験を棚卸していたこと。好きなことを仕事に変える準備をしていたこと──この3つだ。
「大切なのは、仕事イコール稼ぐことだけではありません。誰かの役に立つ、自分の価値を社会に届ける。この視点でキャリアを再設計すれば、定年後の30年はむしろ第2の青春になるはずです」
定年は終わりではなく、人生本番のスタートラインだ。会社員としての前半戦を戦い抜いた人には、必ず経験と知恵を次のステージで生かす力がある。考えることを先送りにせず、今から準備を始める。それが、定年後の30年を輝かしいものにする鍵になる。
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