第49回:なぜ、マネジメントは経営陣と施策を握れないのか──提案を受け入れられるマネジャー、評価されるマネジャー、経営陣に抜てきされるマネジャーはここが違う:マネジメント力を科学する(1/2 ページ)
提案が通るマネジャーとそうでない者の間に能力の差があるとは限らない。しかし前者は実務の延長で「どうやるか」を意見するにとどまり、後者は経営の側に立って「何をやるか」を実行責任とともに提案しているのである。
エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。
今回は、現場でよく聞くマネジャーの皆さんの"あるあるお悩み"〜「なぜか提案が経営陣に受け入れられない」問題について着目してみました。
経営に近づけないマネジャーの共通点
組織の中には、本来能力も高く、現場でも一定の成果を上げているにもかかわらず、なぜか経営陣との距離が縮まらない管理職が存在します。経営会議に呼ばれない、意思決定の場に関与できない、あるいはより上位のポジションに抜てきされない。こうした状態に置かれているマネジャーは決して少なくありません。
一方で、同じような役職や経験を持ちながら、経営陣と施策を握り、実行を任され、評価され、さらに次のポジションへと引き上げられていく人材も確かに存在します。この両者の違いは、いったいどこにあるのでしょうか。
結論から言えば、その差は能力や経験の多寡ではありません。むしろ本質的な違いは、「どの立ち位置で仕事をしているか」という構造にあります。すなわち、実務の延長線上で物事を捉えているのか、それとも経営の視点に立って意思決定に関わろうとしているのか。この立ち位置の違いが、提案の通り方や評価、ひいてはキャリアの進み方を大きく分けているのです。
なぜ提案は途中で止まるのか
経営の現場では、日々多くの提案が上がってきます。しかし、その大半は途中で止まります。理由は極めて単純であり、それらが「実行に落ちていない」からです。
「こうした方がよいと思います」「この施策は有効だと思います」といった提言は、確かに一見もっともらしく見えます。しかし経営陣からすれば、それらはまだアイデアの域を出ていません。経営が求めているのは、検討可能な意見ではなく、「実行される施策」です。
つまり問われているのは、妥当なことを言えるかどうかではなく、それを実行可能な形で握れるかどうかなのです。
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