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ペーパーレスが切り拓く未来型企業への道のり

ペーパーレス化が企業の重要な課題になっている。セキュリティ、コンプライアンス、グローバル化、業務効率向上など、企業の行く末を左右するさまざまな要因とかかわっており、「未来型企業」への道のりを切り拓く重要な取り組みといえる。ただし、安易に紙をなくすこと自体を目的にしては意味がない。経営戦略実現の武器としてペーパーレスを位置づけ、現場の業務効率の向上を目指す必要がある。



 オフィスのペーパーレス化への取り組みが加速している。コスト削減はもちろん、コンプライアンス、セキュリティ、グローバル経済への対応、業務効率の向上といった今日的な課題・要請から、このテーマに対する経営陣の関心がここにきて大きく高まっているのである。

 地球温暖化による世界的な気候変動や天然資源の枯渇といった地球環境問題の深刻化を受け、国家や企業・組織には、まさに待ったなしの対応が求められている。2009年9月、当時の鳩山由紀夫首相が国連の演説で、温室効果ガス(CO2)の排出量を、2020年までに1990年比で25%削減、2005年比で33.3%削減という日本の環境政策目標を打ち出して話題を呼んだのは記憶に新しい。

 その実現可能性については議論が分かれるが、いずれにしても、持続可能な社会の実現に向けて、より踏み込んだアクションが求められていることには違いない。

持続可能な社会の実現に向けて求められる「より踏み込んだアクション」

 企業・組織のマネジメント層であれば、近年急速に整備が進む環境保全関連の法規制の動向に注視しない方はいないだろう。東京都を例に挙げると、2009年4月施行の改正環境確保条例では、事業所が排出する温室効果ガスの削減が義務化され、それに違反した事業者にはペナルティが科せられるようになっている。同条例の直接的な対象は「燃料、熱及び電気の使用量が、原油換算で年間1500kl以上の大規模事業所」となっており、排出量取引やテナント・ビルへの対応によっては小・中規模事業所も間接的にかかわることになる。既に2010年4月からは5年間の第1計画期間がスタートしており、オフィスビルにおけるCO2の削減義務は最大で8%となっている。

 ペーパーレス化を促すのは、こうした外部環境からの要請だけではない。情報セキュリティや、グローバル経済への対応、業務効率の向上という側面とも密接に結びついている。

jnsa12.jpg 情報漏えい事故の媒体・経路(出典:JNSA)

 日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の調査では、情報漏えい事故の媒体・経路の実に72.6%が「紙媒体」からであることが分かった。業種を問わず紙媒体が今も広く使われているのは周知の事実だが、7割超は突出している。JNSAは、漏えい事故に端を発する想定損害賠償総額を、2009年に約3890憶円に上ったと試算。社会問題化した「オレオレ詐欺」の被害額である約52億円を、約75倍も上回る規模だと説明している。

 ここで、紙媒体から漏えいした原因の多くは、保管中の情報を誤廃棄するといった「管理ミス」であるという。「人間誰しもミスはある」「漏えいによる金銭的な被害は大きい」、さらにいえば「信用の失墜など金銭だけでは図れないリスクもある」といった要因を考えるだけでも、ペーパーレス化に取り組む意義が見えてくる。

jnsa2.jpg 出典:JNSA

 一方で、グローバル経済への対応策としてのペーパーレス化も見過ごせない。例えば、1つのプロジェクトチームを構築する際に、そのメンバーは米国、欧州、アジアなど世界各地より召集される。プロジェクトを進めるにあたっては、チーム内で資料を共有するために、少なくとも資料の電子化は必要不可欠となっている。また、インターネットの普及やさまざまなコミュニケーションツールの開発が進み、昔から広く利用されてきた電話に変わり、Skypeや電子会議システムなども注目を浴びている。

 また、電子化をすることにより、大量の資料もコンピュータ上で整然と管理し、いつでも検索できるようになる。例えば、新規の事業プランを考えるといった場面において、長期間にわたって蓄積した過去の会議資料を閲覧すれば、精度の高い企画の立案につながる。少なくとも、机の上が会議資料の山になっているといった状況は解消できるのである。

 さらに、この考え方を突き詰めていくと、例えば、オフィス環境の設計という新たなテーマにまで発展する。資料の電子化を軸にすることで、紙が占めるオフィスの賃料コストを削減できるわけだ。社員が決まった席を持たず、日によって自由に席を決める「フリーアドレス制」などを併用する事例が実際に出てきている。書類を5割減らし、そのほかの取り組みと合わせてオフィススペースを全体で6割も減らした企業もある。こうなると、賃料だけでもコスト削減効果は大きな規模になってくる。

 このように、紙媒体の使用をやめる利点は多岐にわたる。長期的なトレンドで考えた場合、紙媒体の発想のままでは生き残れなくなる業種、業界も出てくるかもしれない。ペーパーレス化は、多くの企業にとっていち早く取り組むべき緊急課題ともいえるのだ。

 もちろん、安易に紙をなくすこと自体を目的にしてしまっては、成功どころか弊害が出る可能性もある。実際にペーパーレスに取り組んだある企業では、来客との打ち合わせのため、どうしても資料を紙で見せることになった際、減らしたはずのプリンタの前に行列ができることになったという。結果的に、会議に遅刻する社員が続出し、外出する前の営業担当者や打ち合わせを直前に控えたスタッフが腕時計を見てイライラしながら、延々と印刷を続けるプリンタを見つめているといった事態になってしまった。

 自社のビジネスの特徴を踏まえた上で、経営戦略を立案する際に、ペーパーレス化の効果が現場に広くいき渡るように業務効率の観点から設計する必要がある。それが、発展を続ける「未来型企業」に求められる条件なのである。

みずほコーポレート銀行がペンタブレットを使ったペーパーレス電子会議システムを導入

 ここで事例を見てみたい。みずほコーポレート銀行は、ペーパーレスを行内のワークスタイル変革の第一歩と位置付け、ワコムの液晶ペンタブレットと三菱電機コントロールソフトウェアのシステム基盤で構築した役員会議向けにペーパーレス電子会議システムを導入した。同行がシステムの導入に至った背景・課題から、運用時のポイント、得られた導入効果などを見ると、ペーパーレス化が企業の活力を基盤から支える重要な取り組みであることが裏付けられる。

mizuhokaigi.jpg みずほコーポレート銀行はワコムの液晶ペンタブレットと三菱電機コントロールソフトウェアのシステム基盤で構築した電子会議システムを導入した

 みずほコーポレート銀行のIT・システム統括部が電子会議システムの導入を検討し始めたのは2006年6月のことである。同年7月には公的資金を完済し、組織体制の刷新や全行的な業務プロセス改革など、同行が「攻めの経営」に転じた時期であった。IT施策を担う同部にも新たなアクションが求められていた。そこで同部は、業務効率の向上とワークスタイルの変革を中期的な目標に掲げ、それらの実現に向けた具体的な施策の検討に入った。

mizuho1.jpg みずほコーポレート銀行 IT・システム統括部 統括チーム 調査役 三木裕美子氏

 部内で議論を重ねていく中で浮かび上がったのが、ペーパーレスのコンセプトである。

 IT・システム統括部 統括チーム 調査役の三木裕美子氏は、当時の議論を次のように振り返る。

 「業務効率の向上とワークスタイルの変革を実現するために、以前から取り組んでいた業務文書の電子化をさらに進めることになった。紙文書の運用にまつわる課題の解決法でもあった」

 課題の1つは、月2回以上開催される同部主催の役員会議で使用する会議資料の膨大な分量による作業負荷の大きさだった。それまでは役員会議を開催するたびに、事務局が1セット80枚のA3コピー用紙を20人分(およそ1600枚)、予備分を含めて合計約2000枚を印刷し、会議参加者に配布していた。

 しかも、役員会議は丸の内の本店内で開催されるため、事務局の担当者は2000枚の資料をキャリーケースに入れて本社に搬送していた。搬送時の情報セキュリティ上のリスクがあったのだ。会議開始の直前まで資料の差し替えが発生することも、事務局の負担になっていた。

多角的な導入効果をもたらした液晶ペンタブレット型電子会議システム

wacompentablet.jpg ワコムの液晶ペンタブレット

 上述の課題解決を要件として、検討の末選ばれたのが、三菱電機コントロールソフトウェア(MCR)の電子会議システム基盤と、ワコムの17インチ液晶ペンタブレットの組み合わせである。2006年10月には、同行の本店内会議室にプロトタイプが設置され、トライアル運用を経て、12月より本利用が始まった。以降、3年半が経過した現在に至るまで、大きなトラブルもなく安定した運営がなされている。

 電子会議システムの導入は、IT・システム統括部に多角的な効果をもたらした。まず、経営会議の運営にかかる労力/コスト面を見てみると、ペーパーレス化によって、2000枚もの会議資料の印刷や、セキュリティ上の問題を抱えていた本社への搬送、参加者への配布といった作業が不要になり、事務局の作業負荷とコストが大幅に削減された。ちなみに、同部が導入後に実施した調査によると、役員会議におけるコピー用紙の使用量は、導入前の約5分の1にまで抑制されたという。

 現在、電子会議システムが設置された本店の会議室では、IT・システム統括部主催も含め3つの役員会議が定例で開催されるほか、部長会議、行内研修、顧客向けセミナーなど、幅広い用途で活用されている。

 IT・システム統括部 統括チーム 調査役 大向渉氏によれば、会議資料の登録や権限設定などの管理操作が容易であることに加えて、モニター兼操作デバイスとして液晶ペンタブレットを利用することで、初めてシステムを利用する人も資料のページめくりをはじめとする操作は画面上に直接ペンで操作でき、誰もが簡単に使えるので、利用者からの評判も上々であるという。また、資料に直接手書きでメモを取ることもできる。

 三木氏は、「導入前は、紙の会議資料が配られなくなったことに対してネガティブな反応を示す役員もいるのではないかという心配もあった」と打ち明ける。実際には、導入後にそのような反応はなく、役員会議に初めて参加する新役員も含めて、迷うことなく操作しており、スムーズな会議運営がなされている。

 このほかに、会議資料の作り方自体も見直した。電子会議システムの導入と同時に、共通文書フォーマットを、従来のA3横サイズ/Word文書ファイルから、A4横サイズ/PowerPoint文書ファイルに変更した。この変更は、会議参加者が利用するモニタ・ディスプレイ上での一覧性を重視したことによるものだ。

 そこには同部の「ある意図」も含まれていた。それは「A3よりも小さいため自由度の低いA4サイズを採用することで、文書作成スタイルを標準化する」というものだ。会議資料を標準化することで、内容の理解のしやすさや資料作成時間の短縮といった効果を狙ったのである。

 三木氏も「会議資料作成のノウハウを部内で共有化、ナレッジ化することで、会議運営の効率化にもつながった。」と効果に満足している。

 一般に、銀行は紙資料の文化が特に根強いといわれるが、3年半にわたって電子会議システムを運用してきたみずほコーポレート銀行では、「電子会議システムを定常的に利用する役員会議のメンバーからは“もう紙資料の会議には戻れない”といった声も挙がる」(大向氏)など、ペーパーレスのカルチャーが着実に醸成されつつある。

 三木氏は、取り組みは今後も続いていくとして次のように話す。

 「IT・システム統括部としては、他部署の電子会議運営のサポートを継続するとともに、会議システム以外のペーパーレスソリューションの導入を通じて、そうしたカルチャーの下で実現される業務生産性の向上やワークスタイルの変革、セキュリティの強化といった効果を、行内全体に波及させていきたい」

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提供:株式会社ワコム
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2010年9月30日