アプリ開発に何が必要かを もっとも理解しているのがSAP稼働率99.9%のPaaS, SAP Cloud Platform

SAPジャパンは、新機能や拡張機能を搭載したSAP Cloud Platformにより、PaaSビジネスを強化することを発表した。また、東京データセンターで、SAP Cloud Platformのほか、3つのサービスを新たに稼働することも明らかにしている。

» 2017年05月31日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

SAP Cloud PlatformでPaaSビジネスを強化

 SAPは今年3月、「SAP HANA Cloud Platform」と呼ばれていたPaaS(Platform as a Service)ソリューションの名称を「SAP Cloud Platform」に変更し、新機能や拡張機能を搭載することで、PaaSビジネスを強化することを発表した。また同時に、東京のデータセンターにおいて、SAP Cloud Platformの運用を開始し、本格的にサービスを提供するとともに、新たな認定制度を開始するなどエコシステムの拡大にも取り組んでいく。

SAP ロルフ・シューマン氏(右)、SAPジャパン 鈴木正敏氏(左)

 SAP Cloud Platformは、インフラストラクチャの保守を必要とせず、短期間で新しい、革新的なアプリケーションを、構築、拡張、統合できる包括的なアプリケーション開発機能を提供するクラウドサービスである。名称の変更について、SAPのSVP 兼 SAP Cloud Platform プラットフォーム&イノベーション担当グローバルゼネラルマネジャーであるロルフ・シューマン氏は、次のように語る。

 「SAP HANA Cloud Platformは、HANAという名称が入っていることで、データベースのクラウドサービスというイメージがあった。以前は、SAPアプリケーションの迅速な拡張や統合が主な目的だったので、大きな問題ではなかったが、PaaSビジネスの強化にあたり、IoT、機械学習、ビッグデータなどの革新的なアプリケーション構築を簡素化する新機能や拡張機能が搭載されたことで、目指すサービスと名称のギャップが大きくなってしまったので名称を変更した」

 今回、搭載された新機能としては、「SAP Cloud Platform SDK for iOS」および「SAP Cloud Platform Workflowサービス」の2つがある。SAP Cloud Platform SDK for iOSは、iOS 搭載デバイス用のエンタープライズアプリケーションを容易に開発するためのツールと拡張性を提供する。プログラム言語として「Swift」を利用できる。また、SAP Cloud Platform Workflowサービスは、GUIツールで、さまざまなビジネスプロセスを組み合わせ、新しいワークフローを作成できる。ともに、4月から提供が開始されている。

 一方、拡張された機能としては、「SAP Cloud Platform IoTサービス」および「SAP Cloud Platform Big Data Services」の2つがある。SAP Cloud Platform IoTサービスは、IoTポートフォリオ「SAP Leonardo(レオナルド)」のコア基盤であり、機能拡張によりIoTサービスとSAP Cloud Platform Streaming Analysisを連携した高速なストリーミング処理が可能になっている。また、SAP Cloud Platform Big Data Servicesは、旧Altiscaleのサービスで、クラウド上でHadoopサービスを提供する。

 「SAPは、常に会社全体の変革を推進してきた。45年前より、ERPによる基幹業務システムの革新に取り組んでいるが、近年は業務を拡大し、顧客の多様な要望に応えるソリューションを提供している。SAPは、すでに単なるビジネスアプリケーションの会社ではなく、完全にオープンなプラットフォームを提供できる会社へと進化している。今後も、顧客が必要とするものを最も優れた方法で提供していく」(シューマン氏)

東京データセンターでは新たに3つのサービスも稼働

 現在、SAPでは、欧州、米国をはじめ、アジア太平洋地域では、中国、そして日本にデータセンターを展開している。日本では、2016年末に東京データセンターを開設したほか、2017年下半期には、大阪のデータセンターも開設する計画である。シューマン氏は、「グローバルなデータセンターの取り組みが拡充されることで、顧客はより一層安心してSAPのソリューションを利用することができるようになる」と語る。

 今回、東京データセンターで、SAP Cloud Platformの本格的なサービスの提供を開始しているが、同時に、計画、予測、BIなどのアナリティクス機能を1つにまとめたSaaS(Software as a Service)ソリューションである「SAP BusinessObjects Cloud」、スポーツ・エンターテインメント業界向けクラウドソリューションである「SAP Sports One」、コネクテッドカー向け分析クラウドソリューションである「SAP Vehicle Insights」という3つのサービスも新たに稼働している。

 東京データセンターが提供する価値について、SAPジャパン バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長である鈴木正敏氏は、「国内の法令に準拠できること、高いネットワーク品質、レイテンシーの削減、国内でのセキュアなデータ管理、SAP HANA Enterprise Cloudとデータセンター内で連携できることだ」と話す。また、信頼性、安全性、国内基準の耐震性など、都市型データセンターとしては、世界最高水準のサービスおよびサポートを実現。PaaSにおいて、99.9%以上の稼働率を実現している。

 鈴木氏は、「IaaS(Infrastructure as a Service)で高い稼働率を実現しているクラウドサービスはあるが、PaaSで99.9%の稼働率を明確に表明しているサービスは多くはない。PaaSは、アプリケーションを開発するためのプラットフォームであり、アプリケーション開発に何が必要かを最も理解しているのがSAPだと自負している」と話す。

 また、PaaS上でアプリケーションを開発する場合には、パートナーとの協業が重要になる。現在、グローバルでApp Centerに登録されている600社以上のパートナーのアプリケーションの数は、すでに1000種類を超えており、国内での登録も開始されている。その一環として、SAP HANAのトレーニングにも注力しており、受講者は国内で3000人を超えている。2017年3月より、SAP Cloud Platformの認定資格も提供を開始。今回の発表に際し、約50社のパートナーが賛同を表明している。

CeBITでメルケル首相と安倍首相が見たデモを初披露

 2017年3月にドイツのハノーバーで開催された「CeBIT 2017」のSAPブースでは、SAP Cloud Platform上で稼働する「災害対策」をテーマとした、2種類のアプリケーションのデモンストレーションが紹介されている。ドイツのメルケル首相と日本の安倍首相が一緒に訪れ、この災害対策アプリケーションのデモを見学している。今回、同じデモが、日本で初めて披露された。

CeBITにおける災害予知分析デモ

 今回のデモは、SAP Cloud Platformを基盤に、機械学習やビッグデータ、衛星画像、地理情報、道路や住宅などのオープンデータを活用して構築されている。まずは、土砂災害の危険度予測のデモが紹介された。これは、衛星画像や土地の水分含有量情報、地形情報などをリアルタイムに分析して、どこに危険があるかを可視化する。

 SAPジャパン プラットフォーム事業本部 ビジネス企画部 Center of Excellence Leadの盛口泰孝氏は、「危険度が高い場所は、広域の地図上に赤く表示される。赤く表示された地域で、気になる部分をクリックすると、その地域のより詳しい情報が表示される仕組みになっている」と話す。

 もう1つ、2016年に発生した台風10号のデータを利用したデモが紹介された。台風10号は、日本の南を迷走したあと観測史上初めて東北地方に上陸した台風である。この台風により、岩手県で発生した土砂災害の発生前と発生後の衛星写真を比べ、どの地域に、どのように被害が拡大していったかを見せた。

 「SAP Cloud Platformを利用することで、災害時に避難場所や仮設住宅の設置場所をどこに確保すれば最も効果的かなど、災害時の最適な対応を分析により導き出すことが期待できる。最大のポイントは、リアルタイムに情報を可視化できることである」(盛口氏)

SAP Connectedで皇居周回イベントを開催

 大型バスとドライバーにセンサーを搭載し、運行管理やドライバーの状態を可視化できる「SAP Connected バス」で皇居を周回するイベント「SAP Cloud Platform Day 現在進行形のデジタル変革をConnected バスで体験しよう」を、顧客、パートナー、プレス向けに実施した。

 SAP Connected バスは、SAPが開発した自動車の挙動情報を収集し分析するアプリケーション「CTS(Connected Transportation Safety)」と、NTTが東レと共同開発した着用するだけで、心拍、疲労度、緊張度などのバイタルデータ(生体情報)を取得できる機能素材「hitoe(ヒトエ)」を組み合わせたソリューションで実現している。

ALTALT SAP Connected バスでSAP Cloud PlatFormを活用した現在進行形イノベーションを体験(左)、開発に携わった松尾康男氏(右)

 ドライバーが身に着けたhitoeから、心拍数などの生体情報をリアルタイムに取得し、疲労度などの状態を分析する。さらにドライバーのデータと、ドライブレコーダーやデジタルタコグラフなどの運転挙動のデータを、SAP Cloud Platform上で稼働するCTSで総合的に分析することで、事故を未然に防ぐための対応や効率的な運行をサポートする。この仕組みは、2016年10月より、京福バス(福井県福井市)で実証実験が行われている。

 開発に携わったSAPジャパン コネクテッドビークル事業開発ディレクター 松尾康男氏は、「SAP Cloud Platform上に蓄積されたセンサーデータを利用して、運行管理者はドライバーのモニタリングや運行状況の分析などを行うこともできる。京福バスの高速バスとコミュニティーバスで実証実験を行ったが、高速バスでは、途中で休憩をすると疲労度が軽減することが実証された。またコミュニティーバスは疲労が少ないと思いがちだが、対象物が多い道やエンジントラブルで運航スケジュールに遅れが出たときなどに、緊張度が急激に増加することが分かった」と話す。

ALTALT hitoeを着用したキャティ・カット氏(左)、ドライバーが着用しているhitoe(右)

 同イベントではガイド役であるキャティ・カット氏にもセンサーを装着し、バイタルデータを収集した。日本の文化が好きで、インターネットテレビなどにも出演しているキャティ氏は、「hitoeは、着心地も良く、センサーも気にならず快適です。テレビに出演しているときに、“ よく緊張しないね”と言われるのですが、hitoeを着ていれば、実はドキドキしているのが分かってもらえると思う。アイドルやタレントは、疲れを見せられない仕事なので、この仕組みで生体情報を分析して、適度に休息が取れるようになればいい」と話す。

 松尾氏は、「2015年に軽井沢で痛ましい高速バスの事故があったが、ドライバーの健康状態を可視化することで、異変にいち早く気づき、安全な運行を可能にする仕組みを実現できる。このソリューションは、バスやトラックのドライバー以外にも、製造業のライン担当者や建設業の作業員など、厳しい労働環境で働く人たちにも応用できる。お客様やパートナーと共創し、これまでにない分野でビジネスを促進するには、SAP Cloud Platformのようなオープンで柔軟なPaaSが不可欠である」と締めくくった。

ドライバーの生体情報をSAP Cloud Platform上でリアルタイムに分析・表示(当日のものと同様のシステムの画面)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:SAPジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2017年6月30日

関連リンク