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今ほどCFOであることに心躍る時代はない【後編】(1/2 ページ)

グローバル企業と比べて日本企業の多くは経理財務部門と経営企画部門が別々に存在しているため、経理財務の効率化においてさまざまな課題を抱えているのが現状です。どうすべきでしょうか。

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 前回は、CFO(最高財務責任者)や経理財務部門がバリュー・インテグレーターを目指して業務効率化とビジネス洞察力の強化を図ることにより、経営層に必要な知見を提供でき、結果として企業の成長を支援できるようになるという、示唆を紹介しました。

 日本でもグローバルと同様に、バリュー・インテグレーターが所属する企業のROIC(投資収益率)、収益成長率、EBITDA(金利・税金・償却前利益)といった財務指標がほかの企業を上回っているという結果が出ているものの、日本におけるバリュー・インテグレーターの割合はグローバルに比べてかなり少ないという結果です。

 これは経理財務部門と経営企画・戦略部門が別々に存在している日本企業の特徴を現しているものと思われます。そのような組織のあり方の相違があるとしても、効率性と洞察力双方に課題が見られる「スコアキーパー」の割合が日本はグローバルに比べて多く、経理財務部門においての効率化はいまだ多くの課題を抱えていると言わざるを得ません。

<strong>図1</strong> 経理財務部門タイプ別の分布割合
図1 経理財務部門タイプ別の分布割合

基盤としての効率化

 経理財務部門のリーダーは、標準化が効率化につながり得ることを直観的に認識しています。ところが、全社的な標準化はほとんど行われていません。今回の調査の結果、標準化を促進する3つの手法が明らかになりました。

(1)プロセス・オーナー制度――特定のプロセスにグループ規模で責任を割り当てることは、全社的な統合と一貫性を促進するものであり、それによって業務の簡素化と標準化が実現され、重複の解消や過失の削減につながります。

(2)共通の帳簿整備と経理財務アプリケーション会計ソフト――共通システムへの移行により、経理財務部門がプロセスとデータ定義を統合する機会が広がります。

(3)新たな業務処理モデル――経理財務部門がシェアード・サービス・センターやアウトソーシングなどの新たな業務処理モデルを利用することは、結果として全社的な標準化促進につながります。

洞察力による価値創出

 プロセス、技術、人材にわたり適切な分析能力を備えた経理財務部門は、この豊富な財務/非財務情報をビジネス洞察力に変え、大きな企業価値創造に貢献できます。今回の調査の結果、ビジネス洞察力の実現に最も大きく影響する要因は主に3つあることが分かりました。

(1)非財務データも標準化――信頼性のある洞察を得るためには、財務/非財務を問わず、分析数値の適切さや妥当性についてしっかりと検討し、全事業部門でソース・データを一貫して定義し、収集することが必要です。

(2)主要指標の自動作成――自動化は、重要な情報をいち早く意思決定者にもたらし、より多くの時間を分析、調査、対応に割り当てることを可能にします。また、自動化によって体系的なルールに基づきデータが定義されるので、信頼できる情報として集約することが可能になります。

(3)ビジネス分析スキル――経理財務部門には、分析結果を解釈し、適切なアドバイスを示すことができるビジネス知識と分析能力だけでなく、説得力を持って相手に提言し、その意思決定に有効な影響を与えられる対人スキルを兼ね備えた人材が必要です。

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