伝説の外資トップが語る経営者の心得:トークライブ“経営者の条件”
経営者JPと連携し、セミナー企画「トークライブ“経営者の条件”」を開催した。第1回は伝説の外資トップとして知られる新将命氏。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
外資系日本法人の伝説的経営者として知られるのが、新将命(あたらし まさみ)氏だ。新氏は1936年東京に生まれ、早大卒業後、シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、フィリップスを含むグローバルカンパニー6社で四十数年にわたり、社長職を3社、副社長職を1社経験した。ITmediaエグゼクティブでは、連載「ビジネス著者が語るリーダーの仕事術」で企画協力していただいている経営者JPと連携し、セミナー企画「トークライブ“経営者の条件”」を開催。
第1回は「勝ち残る企業のための経営者品質の高め方」をテーマに、新氏に講演してもらった。
勉強会の冒頭で新氏は「グローバリストになりたかった」と外資系企業を選んできた理由を話す。「30代はどんなに仕事ができても“虫けら”扱いで、50代になると誰でも部長になれる」といった年功序列の日本企業の考え方が合わなかったと話す。
J&Jに誘われた際に「社長含みではあったものの、確約しようとはしない姿勢が気に入った」という。
新氏は「人は分からない、いくら面接しても分からない」(同氏)と考えている。入社前から社長を確約するような安易なことをしないJ&Jの姿勢に好感を持った。
「(J&Jは)人間に対してSeriousに考えていると感じた。すぐ社長にする会社はすぐクビにする」(新氏)
そんな思いで入社したものの、当初歓迎してくれたのは700人いる社員うちのわずか5%程度。ほとんどの社員からは歓迎されていなかった。だが、次第に認められるようになってきた。秘訣(ひけつ)について新氏は「責任の重い仕事を与えること」を挙げた。思い仕事を与えられることで人は育つからだ。「任せすぎで失敗する方が任せないで失敗するよりもずっといい」というのが持論である。
疲労感、疲弊感、閉塞(へいそく)感を「平成の3H)と呼ぶ新氏。目先の目標に追い込まれることで、社員の多くは精神的な制度疲労を起こしてしまう。そんなときに、トンネルの先に見えるわずかな光のようなものを示せるかどうかが、経営者としての資質を分ける1つの要素だという。
新氏は「夢や理想のない人はしかばねと同じ」と笑う。厳しい現実に埋没するのではなく、どんな時も光を見失ってはいけないというメッセージが伝わってくる。
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