前回、「チームワーク2.0」を具体的に考える第一歩として、チームを定義しました。基本的なコンセプトとして、チームというものは、組織の中に存在し、その目的を達成する責任と独立性が認められた1つの社会なのです。それは、あたかも民主主義の都市国家のように、首相としてのリーダー、市民としてのメンバーが、チームのために仕事をします。
それと同様に、リーダーにはリーダーとしての責任能力、すなわちリーダーシップが必要で、メンバーは市民としての責任能力(シチズンシップ)、つまりメンバーシップが必要です。
今回は、チームワーク2.0という“民主主義国家”の市民には、どのようなスキルが必要なのかを考えてみましょう。
個性の違いを生かす
チームのメンバーには各々異なった専門性や役割があります。また、一人の人間ですから、好き嫌い、モチベーションの種類、知識、スキルは違います。できるだけ独立して仕事をしたいと考えるメンバーもいれば、いつも相談しながら協力して仕事をしたいと考えるメンバーもいます。このような個性は一見、チームのまとまりにとって良くないように見えますが、個性を簡単に変えることなどできません。また、個性の違いは、多様な側面で物事を見ることができ、エラーの発見や創造性の促進にもつながります。チームは、メンバーの多様性を受け入れたものである必要があります。
一方で、メンバーの仕事は極めて相互依存的です。手術チームを例にとると、麻酔医、執刀医、看護師など、ほかのメンバーの仕事は、自分の仕事のやり方に大きな影響を与えます。チームが持つ、1つの目的を達成することに対して、メンバー同士が極めて複雑に連携します。個性や専門性の違いを受け入れながらも、1つの目標に向かって協調していかなくてはなりません。
チームのメンバーシップスキルは、このようなことを実行するために、メンバーが備えるべき能力といえます。それでは、具体的にそのスキルを見てみましょう。
社会的スキル
社会的スキルとは、他人との良い関係性を維持するための基本的なスキルです。以下を見ていただくと分かるように、これは組織や会社だけでなく、友人関係や平和な家庭生活を続けるためにも大切なスキルです。チームワーク2.0のメンバーが持つべき必要条件でもあります。
積極的なヒアリング・スキル
単に耳を傾けるだけでなく、質問して話を引き出すことができる
コミュニケーション・スキル
受け手が理解しやすい情報の伝え方などを選び、効果的にコミュニケーションできる
相手を見るスキル
相手の反応を見て、なぜそのような反応をするかを理解できる
自分を見るスキル
他人に対して自分はどのような言動をしているかをモニタリングできる
利他主義
他人を、実際に助けることができる
協調性
他人に温かく接して協力できる
我慢強さと寛容性
批判を受け入れ、不満があっても我慢強く対応できる
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