「社長の綺麗事より『右腕』の修羅場を」 企業の参謀に光を当てる初の専門メディアが始動
企業の創業者や、立志伝中の人物の言葉やストーリーは語られることが多いが、ビジネスや組織運営で重要なのは、トップのビジョンを現実に落とし込む「右腕」の存在だ。目立たず組織を支える人物のリアルにスポットをあてた日本初の右腕専門メディア「ノンネーム・ヒーロー」(会社を良くするのは、名もなき誰か)が、今年1月にインターネット上で始動した。キャッチフレーズは「社長の綺麗(きれい)事より、右腕の修羅場を」-。
右腕に着目したのは、大阪府豊中市の広告代理店「ZEKA」(ゼカ)社長の川原航平さん(35)。印刷会社、広告代理店の勤務を経て令和5年に同社を創業。今年1月、人材採用や意思決定、評価といった組織運営を学ぶビジネスパーソンに”リアル”を伝えるために、右腕に特化したウェブサイト(https://zeka.jp/nnh/)を立ち上げた。
企業プロモーションなどの経験から、川原さんは「最初に社長さんと話した後は、”右腕”が責任者として出て来られることが多い。右腕のマインドがプロモーションの成否を左右することが多いんです」と語る。
経営者のように露出の機会は少ないが、トップと現場をつないで実務を回す重要な役割。サイト上には教育や販売、サービス業など、さまざまな分野で活躍した右腕のストーリーが掲載されている。「正論を振りかざすな、着地点を見つけよ」「成功を設計する男の、熱く冷静な参謀」「工場長になるために、仕事を頑張ったわけじゃないんです」。挫折や工夫、熱い思いが並ぶ。サイト内の右腕たちは、正面ではなく、あえて背中を向ける。「後ろ姿で想像力を搔きたててもらう」のが狙いだ。
歴史や過去にスポットを当てた「右腕列伝」も紹介している。「天下取りの熱を止めた右腕・本多正信」「坂本龍馬の裏で交渉を設計した右腕・後藤象二郎」「松下幸之助の暴走を止めた番頭・水野博之」といった人物だ。「トップは、前を見る」「右腕は、足元を見る」など、記された言葉が印象深い。
ネット上の採用ページに目を向けると、企業トップや若手の話が掲載されることは多いが、右腕の存在が掲載される例はそう多くない。右腕の活躍は企業のPRやブランディングにつながる可能性があるため、同社ではサイトへの掲載を希望する企業や人を募集している。将来的には優れた右腕の表彰やコミュニティー作り、人材マッチングなどにも結びつけたいという。
川原さんは「ビジネスパーソンの学びや何らかの解決策につながるようなメディアになれば」と願いつつ、「広い意味では誰もが誰かを支えている右腕。色々な角度から右腕にスポットを当てていきたい」と語った。 (中野謙二)
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