姿消す飲料自販機…割高で消費者離れ ガチャガチャ付きや独自決済アプリで各社がてこ入れ
「世界有数の自動販売機大国」といわれたわが国の街頭から、飲料自販機が消えつつある。原材料高に加え、維持管理コストもかさむことから、スーパーやドラッグストアに比べて販売価格が割高となり、消費者が離れている。直近の稼働台数はピーク時から約2割減った。飲料各社は自販機ビジネスの見直しを進め、収益性の改善を急ぐ考えだ。
新型自販機相次ぐ
キリンビバレッジは7月下旬、業界初となる「ガチャガチャ」機能付き新型自販機を東京都内の児童向けスポーツクラブなど3カ所に導入した。対象商品を購入後に専用ハンドルを回すと、独自素材「プラズマ乳酸菌」配合の子供向け健康飲料「キリン つよいぞ!ムテキッズ」が1本もらえる仕組み。親が買い物をする際に子供が「ガチャガチャ」で遊べる付加価値を売りに、自販機の利用拡大と収益性向上を図る。
同社の芳野博郎執行役員は「新しい取り組みで(自販機ビジネスの)可能性を見つけていく」と強調。検証結果を踏まえ、導入拡大を検討する。
サントリービバレッジ&フードは独自の決済アプリ「ジハンピ」に対応した自販機を2025年3月から全国展開。簡単に決済できるだけでなく、共通ポイントサービスを使ったりためたりすることもできる。木村穣介社長は今月6日のオンライン記者会見で「ジハンピがあると便利だという声をいただいている」と語った。販売数量も好調に推移しているという。
アサヒ飲料は23年6月に空気中の二酸化炭素(CO2)を特殊素材で吸収する新型自販機を導入。環境への配慮を打ち出したことで設置が進み、今年6月末時点で8500台以上を展開している。
事業撤退や自販機撤去も
原材料価格が高騰する中でも、スーパーやドラッグストアはプライベートブランド(PB)を中心に清涼飲料水の販売価格を抑えることで、節約志向の消費者を引き付けている。
これに対し、自販機の場合、主要ブランドの500ミリリットル入りペットボトルの希望小売価格は200円前後まで上昇している。商品の補充にかかる人件費、電気代など維持管理コストの増加も響き、急速に台数を減らしている。
飲料総研によると、国内の飲料自販機の稼働台数は14年の247万台をピークに下降に転じ、25年は195万台まで減った。
26年3月にはポッカサッポロフード&ビバレッジが自販機事業の売却を発表したほか、ダイドーグループホールディングスも全国約27万台の自販機のうち、不採算の約2万台を27年1月までに撤去する方針を明らかにした。コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスや伊藤園は、自販機事業で巨額の減損損失を計上するなど、事業の立て直しを急いでいる。
SOMPOインスティチュート・プラスの小池理人上級研究員は「消費者の節約志向が高まり、自販機からスーパーなどに客足が移っている。飲料各社が既存の自販機をどう扱い、自社製品をどのように販売していくかが注目される」と指摘する。定価販売が原則で、飲料各社にとって大きな収益源だった自販機ビジネスは曲がり角に差し掛かっている。
(永田岳彦、柳原一哉)
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