富士通、新方式の量子コンピューター試作機を世界初開発 ダイヤモンドで計算精度を向上
富士通は8日、特殊なダイヤモンドを計算の心臓部に使う新方式の量子コンピューターの試作機を世界で初めて開発したと発表した。量子コンピューターにはさまざまな方式があるが、新方式は計算に使う「量子状態」を維持しやすく、大規模化に有利といった長所があるという。
新方式は「ダイヤモンドスピン方式」と呼ばれる。使用するダイヤモンドは、構成元素である炭素の一部をスズに置き換え、空孔を並べた特殊な構造をしている。この構造の中で、電子などが持つ磁石のような性質である「スピン」が、量子コンピューターにおける情報の基本単位である量子ビットとなる。
富士通は令和2年から、オランダのデルフト工科大などと研究開発を続けてきた。ダイヤモンドを用いる場合、一般的には炭素の一部を窒素で置き換えるが、スズを使う独自技術で計算効率をさらに高めた。
量子コンピューターはさまざまな方式が開発され、一長一短がある。開発が先行しているのは、回路を超低温に冷やして電気抵抗をゼロにする超電導方式で、富士通や米グーグルなどが取り組む。新方式は超電導方式より比較的高温で動作し、量子ビット同士を接続しやすく、大規模化に適しているとされる。外部からのノイズにも強いため量子状態が保たれ、計算精度を高めやすい。
新方式の技術は、さまざまな方式の量子コンピューター同士を接続する場合にも応用できる。富士通研究所の佐藤信太郎フェロー兼量子研究所長は「ダイヤモンドスピン方式の大規模化を目指すだけでなく、量子コンピューターをつなげた計算を可能にする技術としても開発を進めたい」と話した。
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