文書の電子化は、紙の使用量を削減し、紙の管理にまつわるコストを削減するといった単純な効果だけではない。紙を取り扱うためのさまざまな負担が軽減されることで従業員の業務に余裕ができるため、より高度なレベルの業務に取り組むことができるようになる。こうした効果を発揮するためには、使い勝手の良いソフトウエアを採用し、トップから現場まで全社的に使いこなすことが重要となる。
文書の電子化というと、ハードルが高いイメージを持つ読者も少なくないだろう。しかし、低コストかつ手軽に導入でき、数々の実績を挙げてきたソフトウエアも存在する。「オフィスで慣れ親しんだ机や紙を電子の世界に実現する」というコンセプトを持つ富士ゼロックス「DocuWorks」だ。1996年に初登場して以来、着実に機能を向上させ続け、2008年12月には最新のバージョン7がリリースされている。
「DocuWorksのユーザーは、個人から大企業、官公庁まで規模や業種を問いません。近年では年間30万ライセンス以上のペースで販売しております。2009年6月末には累計260万ライセンスを突破しました」と説明するのは、富士ゼロックス ソリューションマーケティング部の荒井聡行氏である。
DocuWorksが安定した売れ行きをみせる理由は、使い勝手の良さにある。そもそもDocuWorksは、机の上に書類を並べるようなイメージをそのままPCの画面上で実現すべく作られており、特に直感的で軽快な操作感は初登場から13年以上を経た現在でも変わらず維持されている。もちろん、バージョンアップごとにさまざまな機能が強化されてきたが、ほかの多くのビジネスアプリケーションとは異なり、レスポンスを含めた操作の快適さを常に重視し続けているのだ。
「DocuWorksは、ITに不慣れなユーザーでもなじみやすいのが特徴で、むしろそうした人たちから好感を持ってもらえる傾向があります。例えば、ITに縁遠いと思われがちな高い年齢層の方々にも気に入っていただき、上層部の方が仕事の中で活用することも少なくありません。特に、DocuWorks文書をDocuWorks Viewerで開くと付箋や文書の厚みが表示されますので、まるで紙文書がPCの中にあるようだとの感想をいただきます」(荒井氏)
富士ゼロックスでは、DocuWorksのメジャーバージョンアップに合わせ、発売から半年後に富士ゼロックスの基準で顧客満足度調査を実施している。これまでのバージョンでは満足を示す回答が全体の90%前後という高い評価を獲得してきた。最近実施した最新バージョン「DocuWorks7」に関する調査では、何と95%という高評価を出したという。
「今回の調査結果について、私たちも驚いています。とはいえ、DocuWorks7はお客様からのご要望を数多く取り入れて改良したものですから、その点をご評価いただいたものと考えております」(荒井氏)
100項目以上の改良が加えられたDocuWorks7。その代表的なポイントをいくつか紹介しよう。例えば、ユーザーインタフェースの改善。富士ゼロックスのユーザーインタフェース開発部門が長期間掛けてアイコンやウィンドウなどのデザインを再検討し、既存ユーザーも新規ユーザーも違和感なく使えるように改良を加えたという。サムネイルの拡大・縮小など、使いやすさを向上させる機能も多数盛り込まれた。
ドキュメントに対して情報を付加する「アノテーション機能」にも多くの強化が施された。色や図形の種類が大幅に増えたほか、日時情報のアノテーションや、目次を自動作成するタイトルアノテーションなどが追加され、グループ化にも対応した。
また、図面のような大判ドキュメントへの対応が強化され、定型用紙では最大2A0、非定型用紙の場合は最大2400mm×2400mmと、大きく拡大された。製造業や建設・土木業界、関連官庁など図面を扱う機会の多いユーザーから、特に強い要望のあったポイントだ。さらに、大判ドキュメントの取扱いを容易にするための機能も合わせて盛り込まれた。
ほかにも、富士ゼロックス社製デジタル複合機(*)の親展ボックス内にあるスキャン文書をフォルダーツリーから直接扱える機能の追加や、OCR(文字認識)機能の認識率向上など、さまざまな機能強化が図られている。
ではこの電子文書化ソフトウエア、DocuWorksがどのように業務改善に役立つのか。個々の事例は富士ゼロックスのサイトなどで確認してもらうとして、ここでは一般的なケースを紹介する。
例えば、ファクスによる受発注業務を考えてみよう。単純に紙をDocuWorksへ置き換えるだけで、図のように、基本的なワークフローは大きく変えずにペーパーレス化することが可能だ。こうすれば、ファクスやプリンターで紙を出力することは基本的に不要となり、紙の消費量を大幅に削減できる。
また、デジタル複合機とDocuWorksとの連携によって、ファクスの送受信は各PC上から行えるようになり、ファクス操作のために席を立つ必要もない。ファクス番号に連動して担当者へ受信文書を転送する仕組みを構築すれば、振り分け作業も不要になり、作業の漏れや無駄をなくして業務のスピードアップが図られる。加えて、相手の環境に応じてDocuWorks文書をメールでやり取りしたり、インターネットファクスを活用するなどして、通信コストの削減も期待できる。
さらに、Webベースの文書管理ソフトウエア「DocuShare」を用いてDocuWorks文書を共有することで、台帳の管理もペーパーレス化できる。紙文書の保管に必要だったスペースを不要にするのみならず、紛失の防止や、DocuShareの権限設定によるセキュリティ強化も可能だ。問い合わせ対応なども画面上で必要な文書を検索、閲覧すれば済むため迅速化できる。
以上のような効果は、比較的短期間で実感できるはずだ。だが、ペーパーレス化のもたらす効果は、それだけにとどまらないと荒井氏は説明する。
「例えば、こうした課題を解決した結果、業務効率の向上によって、従業員は余った時間をほかの業務に活用することができます。ペーパーレス化は表面的な効果のみならず、結果として組織力強化や顧客サービス向上など、経営上の課題解決にも役立つのです。しかも、多くの場合、DocuWorksを使いこなしていくうちに、導入当初の用途だけでなくさまざまな業務に活用していくようになっていきます。実際、“紙でおこなう必要のない業務”というのは、探してみるといたる所に存在しています」(荒井氏)
富士ゼロックスは、DocuWorksの開発ツールキット(DocuWorks Development Tool Kit)を無償で公開している。ユーザーがカスタム開発を行う際に役立つのはもちろん、各メーカーからも豊富な関連製品がリリースされており、DocuWorksをより使いやすくしたり、活用の幅をさらに広げたりできる。現在、DocuWorks関連製品を出しているのは30社ほどだという。例えば、ソフトウエア開発を手掛けるアシストVでは、DocuWorks 7に特化した機能強化プラグインをリリースしている。
「アシストVは、DocuWorks7の新機能に対応した、便利な連携プラグインを開発しています。『アノテーション読み取りプラグイン』は、DocuWorks7で追加されたアノテーションのユーザー定義属性を応用して開発されました。文書に付箋をつけて付箋上のテキスト枠に情報を入力しておくと、その情報を一括して読み込んでExcelの表データに出力できます。例えば領収書に記入された手書きの金額を集計したい場合は、複数ページの領収書をスキャンしてDocuWorksで束ね、ページごとに付箋を付けて目視で金額を入力していけば、Excel表に出力できます。従来紙で行っていた集計作業を、このプラグインとDocuWorksとの組み合わせで効率化することができます」(荒井氏)
一方、下田OAシステムの「STATUS MASTER」は、内部統制など特定業務の文書管理を目的に、DocuWorksをベースとして作られた文書管理ソリューションだ。いわゆる日本版SOX法の関連文書を作っていくと膨大な数になってしまうため、管理ツールが不可欠とされるが、高価な専用ツールは中小規模の企業では容易に導入できない。そこで、DocuWorksをベースとして手軽に導入できる製品を作ったという。
「ある企業の経営者は、STATUS MASTERの導入でDocuWorksに初めて触れ、『富士ゼロックスのドキュメントに対するこだわりを感じた』と、DocuWorksを全社的に活用することを決定しました」(荒井氏)
このエピソードからも、DocuWorksがもたらすメリットが分かるだろう。バージョン7で、より一層、使い勝手を向上させたDocuWorks。「電子文書化などハードルが高い」と尻込みすることなく、まず使ってみてはいかがだろうか。
>> 電子の世界に再現された紙 その使い勝手は? (マンガ全員プレゼント) |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:富士ゼロックス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2009年8月31日