ビッグデータ時代のITを変革する4つの視点ITがビジネスを変える

ITの変革には、インフラのコスト削減だけではなく、ビジネスの俊敏性を目標にITインフラを考えていくことが重要だという。

» 2011年11月09日 10時00分 公開
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 「グローバル企業のCIOにITの課題を聞くと、ほとんどのCIOが『いかにIT投資からビジネス価値を生み出すか』という点を上げる」と話すのは、EMCジャパンでシニアマーケティングプログラムマネジャーを務める若松信康氏だ。

 企業は、常に新しいビジネス収益源を探しているが、そのために顧客のニーズを即座に特定し、ニーズにあった新製品やサービスをタイムリーに展開することで競合優位性を高めることを目指している。それらの企業は、そのためのITの役割が今後ますます重要となることを理解しているだけでなく、ビジネスの俊敏性を目標としたITの変革と、そのためのクラウドの活用方法に関する戦略を推進する中で十分なコスト削減効果を得ているという。

 これに対して、日本企業に同じことを聞くと「ITインフラのコスト削減が課題」と答える方が多いというが、「ITインフラのコスト削減だけを目指していては、中長期的に十分なコスト削減効果は得られない」と若松氏は語る。

 もちろん、ITインフラのコスト削減は重要だ。だが企業のIT投資の4割をアプリケーションの開発・メンテナンスと、それにかかる人件費が占めるという調査結果もある。ある業務システムを小改修したいだけなのに、周辺まで含めた大プロジェクトになってしまい、時間もコストも掛かってしまった――こんな経験を持つIT部門担当者も多いことだろう。

 「逆説的ではあるが、ハードウェア、ソフトウェア、設備、通信のコストという従来のITインフラの区分けで考えるのではなく、ビジネス展開にかかる時間やコストの全てを考慮に入れ、市場の変化に対応した新たな収益源(新製品・新サービス)と、そのための新たなビジネスプロセスを展開するためのスピードを向上させる取り組みが重要となる」と若松氏は指摘する。つまり、ITサービスでいかにビジネスプロセスを効率化するかが、カギとなる。そのためには、どのようなアプローチを取るべきだろうか?

ITの新しいレイヤ

ITによるビジネス変革を実現するための4つの視点

 そのためには、次の4つの視点で変革を推進することが重要だという。

①ITインフラのトランスフォーメーション(変革)

 従来のITインフラは、アプリケーションと密に結合しており、厳格な要件定義の元でハードウェアを選定・構築してきたため、プロジェクトを進める上でかなり時間を要してきた。さらに部門縦割りで構築されるシステムが多く、新たなビジネス要件に対応するためのアプリケーションの改修や導入・展開には、ビジネスプロセスに関連するその他の部門を含めた横断的なシステム要件定義の取りまとめと、要件の肥大化からくる時間とコストの増大という問題に直面するケースが多い。

 そこで、そのプロセスを改善するために、インフラとアプリケーションをVMwareのようなクラウド基盤によって祖結合化することで、より緩やかな要件定義の上に、アプリケーションを載せてプロジェクトを小さくスタートし、ビジネスに応じて最適なインフラリソースを選択するというアプローチが可能となってくる。このアプローチと従来のITコスト削減を目標とした取組みとの違いは、単に1つの物理サーバに仮想マシンとアプリケーションを集約するという考え方ではなく、複数の物理リソースをプールとして活用するための基盤を構築するという点である。

 さらに「ここで重要なのは、そのリソースプールを自社のみに閉じるのではなく、必要に応じてパブリッククラウドのリソースも活用するハイブリッドクラウドを視野に入れることが重要である。実際に弊社がある顧客と共同で、100%プライベートクラウド、100%パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドの3つのコスト試算を実施した結果、ハイブリッドクラウドが最も低コストで従来比24%のコスト削減が可能という結果になった」(若松氏)という。ビジネスに応じたハイブリッドクラウドの活用といった戦略的な取り組みをITが担うことで、IT部門のカルチャーの変革につながることが期待されている。

②アプリケーションのトランスフォーメーション(変革)

 アプリケーションの新しい機能をいかに早く市場に投入するかが、ビジネスの展開スピードに直結する。しかし、従来のアプリケーションの開発環境は細分化され、様々なテクノロジやプラットフォームが使われており、互換性やコードの再利用性が乏しい。そのため、開発チームによる新機能の開発・QAといったフェーズから、ITオペレーション部門による段階的な実行と拡張のフェーズへの移行するときに、差し戻しと再リクエストの繰り返しがしばしば発生し、市場ニーズへの対応に時間と工数を要しているという。

 このプロセスを改善するために重要となるのが、特定のテクノロジ、ライブラリ、プラットフォームに依存しない開発フレームワークと実行プラットフォームである。

 「現在では、Spring開発フレームワークとvFabric実行プラットフォームを活用することで、VMwareによるクラウドインフラ基盤のオンプレミスとオフプレミスのどちらにでも、オペレーション、データアクセス、メッセージング、モニタリング等の整合性のとれたアプリケーションの迅速な展開が可能です。仕様変更や機能追加のたびに決まりきった同じ設定ファイルを設定するためにXMLファイルを編集する必要もなくなり、開発スピードを向上させることができます」(若松氏)

 さらに「ここまで来れば、ビジネス視点でどのアプリケーションに開発リソースをフォーカスするか? コアコンピタンスでない部分はパブリッククラウドなど外部サービスを活用したほうが良いのではないか? といった選択ができるようになります」と若松氏は話す。期せずして自社のITがSOA(サービスオリエンテッドアーキテクチャ)で最適化された基盤になるということにもつながるだろう。

③エンドユーザーコンピューティングのトランスフォーメーション(変革)

 アプリケーションを活用するユーザー環境にも大きな改善の余地が残されている。従来のエンドユーザー環境であるPCから、個々のOS、デスクトップアプリケーション、ユーザーデータを分解し、セキュリティを含めた一元的な集中管理を行うとともに、デバイスの違いを抽象化して様々なデバイスからのアクセスを提供することで、アプリケーションの利用スピードを促進することができる。

 「今後は、PCだけしか使わない企業と、それ以外の普及したデバイスからのアクセスを提供する企業とでは、企業ユーザーの対応スピードに差が出る」(若松氏)という。このために多くのユーザーがデスクトップ仮想化のアプローチを展開している。

 デスクトップ仮想化を活用するビジネスシーンは様々だが、典型的な例の1つとして医療がある。地域医療連携や大学-病院間の連携において、常に移動が伴う医療従事者は1つの場所や端末に依存せずに患者の情報にセキュアにアクセスできる必要がある。そうすることで、適切で迅速な処置を行うことが可能となる。

 他には、ユーザーPCのOSアップグレードによるユーザー環境の最適化に時間がかかる問題や、古いアプリケーションによってサポートされているアプリケーション(例えばIE6環境に依存する多くのアプリケーションを依然として活用している企業も多い)をOSやアプリケーションの依存を排除して活用する柔軟性を提供できることから、新たな開発の必要性を減らすことにもつながる。

④ビジネス展開の意思決定のためのビッグデータ活用

 次の10年で50倍になることが予想されている膨大なデータをIT部門はどう扱うかという点も重要になる。ビッグデータといわれるこの潮流の中で、クラウドインフラは標準化により近い将来コモディティ化するだろう。そのとき、ビジネスに最も貢献できる可能性をもったデータを、ただ効率的に管理することだけを考えるか、ビジネスの重要な意思決定要素としてデータの分析と活用を推進するかで、企業の競争力は大きく変わってくる。

 例えば、Amazonはユーザーの購買行動を分析することで、ユーザーニーズを生み出し、ビジネスニーズへの事後対応から予測的なビジネスの展開にまでそのスピードを向上させている。技術的にも、これまでにそのデータ分析上のボトルネックを排除するMPP(超並列処理:Massive Parallel Processing)と、それを標準化されたクラウドインフラ基盤の上で実行できるようになったことで、より低いコストでビッグデータの分析をリアルタイムに行い、ビジネスの意思決定につなげることが可能となっている。EMCではそのために構造化データ、非構造化データの両方を高速に分析してビジネスへの活用を可能とするGreenplumというソリューションを提供している。


 EMCではVMwareとの強固な連携により、これら4つの視点の全てをカバーするソリューションを備えている。加えて、VMwareが提供するクラウドプラットフォームと70以上もの統合ポイントを有しており、若松氏も「“VMwareを使うならEMC”という認識が国内外でできつつあります」と自信を見せる。

VMwareを使うならEMC

 このEMCとVMwareの関係は、ビッグデータを扱うクラウドインフラ環境を進化させるべく、さらなる連携の強化をするという。その1つがこれまでのサーバ内、ストレージ内に閉じた仮想化から、サーバのCPUとストレージのCPUを1つのプールとして、またサーバのキャッシュとストレージのディスクを1つのプールとして活用する技術によってサーバ、ストレージにまたがってリソースを自動最適化することを可能としていくという。この技術は“Project Lighting”として実用化が進められており、近い将来に製品としてリリースされる予定だ。「ITを変革するためのソリューションをお探しならEMCにお任せください」と、最後に力強く若松氏は締めくくった。

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