ノートやデスクトップのPCばかりだった企業のクライアント環境は、スマートフォンやタブレット型デバイスの登場で大きな変化を遂げようとしている。だが、新しいデバイスの多くはコンシューマーユースを想定したものばかり――デルがビジネスユースを前提に開発したWindows 7 スレートPCの「Latitude ST」は、企業ユーザーから大きな注目を集めている。
コンシューマー市場で人気を博するスマートフォンやタブレット型デバイスは、薄型・軽量で携帯性に優れ、無線ネットワークを活用して場所を問わずにさまざまなアプリケーションやサービスを使える利便性から、企業の業務用デバイスとしても注目されている。こうしたメリットは魅力的だが、企業で使うためにはOSレベルでの管理やメンテナンスの手間が少なく、高度なセキュリティ対策も講じられるなどの要件を満たさねばならず、コンシューマー向けに売られているデバイスをそのまま受け入れるというわけにはいかない。
そこで今、Windows OSを搭載した「スレートPC」と呼ばれるデバイスが企業からの注目を集めている。MicrosoftのWindows 7を搭載しているので既存のPCと同じように管理でき、業務アプリケーションを利用できる。しかし、その形状はタブレット型デバイスのように携帯性や利便性に優れ、ユーザーに新しいワークスタイルを提供できる存在である。この1年ほどの間にPCメーカー各社が新製品を市場に投入した。その中でデルが2011年11月に発売した「Latitude ST」は、機能面や性能面、拡張性などのさまざまな点において企業ユーザーからの評価を獲得しつつある。
「長らくデファクトスタンダードだったx86とWindowsの世界に、近年はiOSやAndroidが加わりました。さらにx86+AndroidやARM+Windowsという選択肢もこのカテゴリーに今後加わり、今年はデバイスの多様化が一気に進むでしょう」
デル 公共・法人マーケティング本部 エンドユーザーコンピューティングチーム マネージャーの堀内朗氏は、デバイスプラットフォームにとって2012年がターニングポイントになるとみる。ユーザーにとって今のデバイス環境は混沌としているような状況であり、「1995〜96年頃の情勢に似ている」と口にする顧客がいるなどクライアント環境の変革に迫られつつある。
「Windows 95の登場やインターネットの拡大によりPCが広く一般に普及したように、現在は個人所有のさまざまなデバイスが企業のIT環境内に入り込み、IT部門が多彩なデバイスの導入・管理を迫られる、といった変化が起こりつつあります。2012年末に向けモバイル化とマルチデバイス化がさらに進展していきますし、クラウドサービスの広がりと相まってモバイルによる新たなコンピューティング環境が台頭していきます。大きな意味でのITプラットフォームもメインフレーム、クライアント/サーバの次のステップとして、クラウドやモビリティ、ビッグデータ、ソーシャルネットワークからなる新たな基盤の時代に突入する”とみられています。」(堀内氏)
企業では2011年ごろから、タブレット型デバイスを中心とする新しいデバイスへのニーズが急激に高まった。コンシューマー市場での人気ぶりがその背景にあるが、新しいデバイスの多くはコンシューマー向けに開発され、企業としては導入・展開や管理などの面で不安がつきまとう。できればこれまでに培ったノウハウや資産を生かすことができるWindowsによるデバイスが望ましいと考えるところが少なくない。
「コンシューマー向けデバイスの新製品が次々と登場するので、将来を見通しづらいという声もあります。企業ユーザーが望むのはロードマップが明確であり、しっかりとしたサポートが提供され、長期間安心して使える製品。グローバル展開も加速しているので、世界中で同じ端末を調達でき、どこでも同じサポートが受けられることも条件になっています。デルにはこうした顧客からの引き合いが多数寄せられています」
このようなニーズを受けて開発されたのが、Latitude STである。サイズはB6用紙よりやや大きい程度で、816グラム(最小構成時)のボディに10.1インチの静電容量式タッチ画面を備える。指先でも付属するデジタルペンでも入力できるマルチタッチ仕様だ。Windows環境のアプリケーションをほぼそのまま利用できるのはもちろん、Active Directoryなど企業で広く使われている管理プラットフォームにそのまま組み入れられる。
ユニークなのは、一般的なスレートPCでは難しいバッテリの交換が可能な点だ。デルが提供するサービスメニューで劣化したバッテリをオンサイトで交換できるなど保守面でも安心して使える。公表されているカタログ値で比較してみても、充電に3時間以上を要する機種が多い中で、Latitude STはわずか1時間で容量の80%まで高速充電ができる。バッテリ駆動時間は1日の業務をカバーするのに十分な最大7時間となっている。
入力のための専用デジタルペンを本体に格納できるのも、他社製品にはみられない特徴だ。オプションのドッキングステーションは3基のUSBポートやHDMI出力ポート、ギガビットイーサネットポートを装備する。「この種のデバイスのドッキングステーションは単に充電目的で使われる場合が多いのですが、Latitude STでは本格的なデスクトップ作業に対応できる使い勝手を重視しています。特に有線LANポートを備えるものは市場での選択肢は少なく、IT管理者がLAN経由でPCを遠隔管理できるように配慮しています」(堀内氏)
例えば、訪問先でドキュメントの閲覧やWebアプリケーションによる業務処理といった操作を快適に行えるように、Latitude STには2Gバイトのメモリや高速のSSDが搭載され、社外のモバイル環境では利用に申し分のない性能を有している。同社のユーザーが独自にベンチマークテストを行ったところ、暗号化ソフトやアンチウイルスソフトをインストールした環境でも、起動やシャットダウンの時間が非常に短いことが分かったという。
デルはLatitude STの発売に先立って、主要な顧客企業にLatitude STを評価してもらったという。
「PCとスマートフォンの中間くらいの存在として営業現場で使われるだろうと想像していましたがそれだけでなく、生産工場の作業用端末や製造ラインの制御・管理端末といった用途に使ってみたいという声もありました。思いもよらなかった目的で採用を検討するケースが幾つもありました」(堀内氏)
例えば、ハイテクシステムを手掛けるあるメーカーの工場では紙文書のマニュアルをLatitude STで閲覧することを検討した。システムの製造には膨大な分量のマニュアルや資料が必要になるが、作業現場にはクリーンルームもあり、紙の扱いにも細心の注意を要する。システムに関する情報は機密性が非常に高く、情報漏えい対策も欠かせない。そうした要件でありながら、同社はLatitude STで作業環境を改善すべく、工場内に無線LANを整備してマニュアルの閲覧や作業報告などがLatitude STからできるようにしたという。
あるメーカーでもマニュアルの閲覧にLatitude STを使用している。作業現場はアクセスが困難で作業性の悪い場所だといい、これまでは大量の紙の資料を持ち込んでいたが、担当者に大きな負担をかけていた。Latitude STの採用を決めた理由は、802.11a/b/g/nの無線LANに対応していたためであった。「さまざまな接続パターンを想定する現場において、幅広い無線接続形態を提供しているのがLatitude STが最適な選択肢でした」(堀内氏)
また整備拠点やサービスセンターで使用する端末をノートPCからLatitude STに置き換えるケースもあるという。「キーボードやマウスを使うより、指やデジタルペンの方が使いやすいというのが理由です。整備現場のような環境では手袋をしたままでもデジタルペンで入力できます」(堀内氏)
医療の現場ではLatitude STが電子カルテ用端末として試験導入されているケースもある。多くの医療機関では電子カルテ端末に専用のノートPCを使い、看護師がカートに乗せて病院内を巡回している。重量があり、患者に接触してしまう危険性もある。だがLatitude STのようなスレートPCなら、看護師が抱えて持ち歩くことができ、無線LAN経由で電子カルテの閲覧や入力作業も可能だ。端末がノートPCからスレートPCに代わるだけなので、電子カルテシステム本体を改修するなどの手間はない。
このようにWindows 7 スレートPCのLatitude STは、既存のPCでは難しいワークススタイルを実現できることに加え、既存のPCで解決しきれない部分を解決する手段になる。ただ、企業の中にはコンシューマー製品のスマートフォンやタブレット端末に魅力を感じた経営者の“鶴の一声”で導入を検討してはみたものの、具体的にどのようなデバイスを選択してどう利用すればよいか分からないと担当者が頭を抱えてしまうところもある。
デバイスの多様化が急激に進む昨今、新しいクライアント環境を導入してワークスタイルの変革を成功させるには、用途を明確にし、デバイスが持つ機能や性能だけでなく既存システムやセキュリティ対策、業務環境との親和性をしっかりと把握した上で検討することが欠かせない。
デルではこうした悩む担当者に向けて、業種ごとにスレートPCの利用例を整理して取りまとめた資料を作成し、ホワイトペーパーとして提供する。スレートPCの活用を検討したい読者はぜひ入手して、検討に役立ていただきたい。
「今のところ、ノートPCに対してスレートPCの普及は0〜5%の間といったところ。まだ新しいカテゴリーのデバイスですが、デルとしてはユーザーの多様なニーズに柔軟に対応できるグローバルなサプライチェーンと直販体制のメリットを最大限に生かして、製品を提供したいと考えています」と、堀内氏はスレートPCに対する同社の取り組みを語る。
同社はパーツの変更からBIOSのバージョン変更といった細かい点も含めた製品のロードマップも機密保持契約締結済みの顧客には可能な限り事前に告知しているため、ユーザーは導入計画を立てやすい。導入規模を問わずユーザーが求める製品を手頃な価格で可能な限りタイムリーに提供できる体制は多くのユーザーが知るところだろう。
携帯性や利便性を持ちながら既存の資産や運用管理の仕組みを生かすことができ、ユーザーに安心のサポートを提供しているデルのLatitude STは、企業にとって最適なデバイスの一つとなるだろう。具体的な利用用途については、ホワイトペーパー「5分でわかる!スレートPC導入フローチャート」を確認してほしい。今ならホワイトペーパーをダウンロードした方の中から抽選で2名の方にLatitude STをプレゼントするキャンペーンを実施している。
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Latitude、DELLロゴは、米国Dell Inc.の商標または登録商標です。Microsoft、Windows、Windows 7 professional 、Microsoft System Center Configuration Managerは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または登録商標です。
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提供:デル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2012年5月22日