オンプレミスやクラウドのITリソースを、ニーズにあわせて自由自在に組み合わせ、新しいビジネスの要求に迅速かつ柔軟に対応できるITインフラをいかに実現するか。HPEの提案は、「ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャ」である。
「ビジネスのデジタル化、問われるのは"仮説" "実行" "検証"の質と速度」をテーマに開催されたITmediaエグゼクティブ勉強会に、日本ヒューレット・パッカード(HPE)プリセールス統括本部 サーバ技術本部 テクノロジーエバンジェリストの小川大地氏が登場。アイデア・エコノミー時代に求められる「コンポーザブル・インフラ」のあり方を紹介した。
近年、「シェアリング・エコノミー」という言葉を耳にする機会が増えてきた。シェアリング・エコノミーとは、提供者が所有する「モノ」や「サービス」を利用者が共有することにより成立する市場経済の仕組みである。個人と個人の取引がベースであり、個人が使っていない資産や時間、能力などを生かすサービスである。
例えばAirbnbは、利用されていない一軒家やアパートの空き室、城、ツリーハウス、ボート、島などを貸したいホストと、ホームステイ先を見つけたいゲストをマッチングするサービスを世界200カ国で展開。2013年12月現在で、55万件以上の登録物件があり、600万泊以上の利用実績がある。
今後、シェアリング・エコノミーが、さらに発展していくためには、ビジネス面においても、テクノロジー面においても「信頼性と信用性の確保」が絶対条件になりそのためには新たな規制が必要であり、テクノロジー面での信頼性と信用性の確保には、堅牢で安全、安心なITインフラが必要になる。
世界規模で大きな潮流となっているシェアリング・エコノミー。これは、新生HPEの提唱する「アイデア・エコノミー(アイデアの経済)」のうちの1つであり、一番注目されている。
「ITを活用し、新しいアイデアを短期間でサービス化することが市場における最大の競争力になる。特許が早い者勝ちであるのと同様に、二番煎じでは新しいビジネスの成功は望めない時代が来ている」(小川氏)
こうした背景のもと、新しいアイデアをライバル企業よりも早く、短期間でサービス化できる、新しいITインフラが求められている。しかしながら、新興企業でない限り、普通の企業には既存事業があり、それを支えるシステムは今日も動いている。これを突然辞めて新しいビジネスに一本化することはできないだろう。そこで、アイデア・エコノミー時代に必要な柔軟性と俊敏性を持つITインフラと、既存のビジネスをこれまでどおり安全、確実に運用していくためのITインフラという異なる2つの要件に対応できる「ハイブリッド・インフラへの変革」が重要になる。
ハイブリッド・インフラへの変革では、これまで部分最適により導入されサイロ化した無数の社内システムを昨今のテクノロジーで底上げし、標準化や全体最適化を行う。これを実現するには、ソフトウェア(API)を起点として、自由に組み立てることができるハードウェアが必要だ。これを製品化したのがHPEの「ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャ」や近い将来リリースされる「コンポーザブル・インフラストラクチャ」である。
企業のインフラ管理者は、仮想化によりサーバ台数は減ったものの、OSインスタンス数の増加、責任範囲の拡大、トラブルによるクレームの増加などの課題を抱えている。またクラウド化が進むにつれて、回線事業者との折衝やシングルサインオン認証の管理など、業務範囲が次々と広がっている。その一方で、コストの削減により、メンバーの増員も見込めない状況である。
「このような状況を改善するために、インフラ管理者は時間の使い方を変える必要がある。例えば、サーバの選択方法だ」と小川氏は言う。昨今のサーバ導入は、自己責任でサイジングや設計を行い、1から構築する従来からの「フルカスタマイズ」型と、ベンダーお墨付きのアプライアンス構成を採用してしまう「コンバージド」型の2つがある。
フルカスタマイズによるサーバ導入は、例えばレストランで好きな前菜やメイン料理すべてのメニューの中から自由に組み合わせる"アラカルト"注文。この場合、食べ合わせが悪いなどセレクトに失敗するリスクがある。コンバージド型は前菜からメイン料理、デザートまでもが熟考された"シェフのおすすめコース"と捉えると分かりやすい。
「ITインフラも同様で、フルカスタマイズは機能やスペックにこだわったあげく、安定稼働の観点が蔑ろにされることが多い。言い換えれば、好きなサーバを選べる半面、トラブルのリスクが高いということだ。コンバージドインフラはあらかじめ組み合わせを考えて全体最適化されているので、簡単にセットアップでき、トラブルのリスクは解消される」(小川氏)。
ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャの最大の特長は、コンパクトで、箱から出したらすぐに使えること。最適化済みなので、トラブルも少なくもし故障してもすぐにサポートしてもらえる。テレビやビデオのように、容易にセットアップできることも特長のひとつである。
保守ポートにPCを接続し、「かんたんセットアップウィザード」を起動することで、誰でもミスなく、約15分で仮想化基盤を設定可能。仮想マシンは、5クリック程度で作成できる。「まるで仮想マシンの自動販売機」と小川氏は語る。運用、メンテナンスも容易で、管理環境も充実しており、PCはもちろんスマートデバイスからも操作できる。
小川氏は、「PCを購入する場合、CPU、メモリ、ハードディスク、きょう体などをばらばらに購入し、自作することもできるが、社員のPCを自作している一般企業はほとんど無いだろう。メーカー製のPCを選べば、OSがプリインストールされているため箱から出してすぐに使えるし、サポート体制も万全だ。こういったメーカー製PCの良いところをサーバ製品に生かしたのが、HPEのハイパー・コンバージド・インフラストラクチャである」と話している。
ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャは、HPEだけが提供しているわけではない。いくつかのスタートアップ企業も製品を市場に投入している。その中でHPEの強みは、信頼性と安定性である。小川氏は、「HPEは、アイデア・エコノミーにおける勝者でもある」と語る。
「メインフレームやUNIXサーバが全盛だった1990年後半、HPEはダウンサイジングに取り組み、x86サーバ、Windows/Linuxの世界でナンバーワンの地位を築いてきた。現在でも、仮想化やクラウドで利用されるx86サーバの分野でナンバーワンのシェアである。アイデア・エコノミーでは、最初に市場投入した企業が圧倒的優位であると冒頭で話したとおり、HPEはこの分野で圧倒的に優位な状況にいる」(小川氏)。
また、製品の優位性だけでなく、その支払い方法など購買や経理についてきちんと考えているところもHPEの強みの1つだろう。例えば、「HPEフレキシブル・キャパシティ」。これは、あらかじめ必要なリソースを確保しておき、使ったリソースの料金だけを月額で支払う課金モデルだ。小川氏は、「オンプレミス環境でありながら、クラウドのような"月額従量課金"払いなのでコストを最適化できるのが最大のメリット」と語る。OPEX化はもちろんのこと、経理部門が頭を抱える「資産計上」の課題も解決に進めることができる。
これまでのサーバ導入では、5年後に必要なリソースを事前に購入しておかなければならなかったため、初期導入コストがかかっていた。フレキシブル・キャパシティでは、使ったリソース分だけの料金を支払う仕組みなので、初期導入コストを抑えながら、ビジネスの要件に合わせて迅速で柔軟なITリソースの追加が可能なので、導入時に過剰な投資をしなくても最適なサーバ環境を手に入れることができる。
小川氏は、「HPEは単なるメーカーではなく、お客様のプロジェクトを成功に導く良きパートナーでありたいと思っている。東京都江東区にある本社のエグゼクティブ・ブリーフィング・センターでは、コンサルタントやエンジニアが、プレゼンテーションやワークショップを通じて、お客様の課題を洗い出し、今後の方向性や行動計画の策定からシステム・インテグレーションまでサポートできる体制をも確立している」と締めくくった。
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