デジタルトランスフォーメーション実現に向けて、日本企業が今すべきこと

デジタルトランスフォーメーションの重要性が叫ばれる中、海外では既に米国を中心に多くの成功事例が生まれつつある。日本企業もようやくその実現に向けて進み始めているが既に後れを取っている。これを取り戻すには果たしてどうすればいいのか。

» 2018年11月19日 13時00分 公開
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デジタルトランスフォーメーションで海外から後れを取る日本企業

 デジタルテクノロジーが目覚ましい進化を遂げつつある今、ITは人々の日常生活はもちろんのこと、ビジネスの世界でもその重要性を日に日に増しつつある。かつてITは「ビジネスのための道具にすぎない」といわれていたが、今やITがビジネスにもたらすインパクトは「単なる道具」をはるかに超えている。それどころか先進ITを武器に業界を席巻する新興企業が次々と台頭する中、デジタル技術でビジネスモデルを根本的に変える「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組まない企業はグローバル市場での生き残りが難しくなってきた。

スクウェイブ 代表取締役社長 黒須豊氏

 しかし、欧米やアジア新興国の企業が積極的にデジタル技術を取り入れDXに乗り出す一方で、日本企業は明らかにこうした波に乗り遅れているようにも見える。かつてガートナージャパンで最年少リサーチディレクターとしてIT関連のリサーチやコンサルティングに従事し、現在はスクウェイブの代表取締役社長を務める黒須豊氏は、日本企業の現状について次のように述べている。

 「日本ではようやく、企業の経営層が“デジタルトランスフォーメーション”という言葉を認識し出したという段階で、欧米と比べると5年遅れの印象です。中には真剣に取り組み始めている企業もあるのですが、方向性がきちんと定まっている企業はまだまだ少ないのが実情です。中には、試行錯誤の過程で新たに専門部署を社内に立ち上げて進めようとする企業も出てきています」

 しかし全体的には、先行する米国企業の後追いとの印象が拭えない。海外企業に後れを取ってしまった原因について、黒須氏は次のように分析する。

 「まず、日本企業のほとんどは戦略的なIT投資ができていません。戦略以前に、自社がどういった事業にどれだけIT投資を行っているかすら、把握できていない企業が大半です。また米国企業では、プロジェクトごとに外部から優秀なIT人材を都度集めますが、日本の雇用環境下ではそうしたテンポラリーな人材登用は難しく、労働環境の違いも一因に挙げることができます。加えて、日本では企業活動を縛る規制が多く、規制緩和を進めないと欧米はおろか、規制緩和を積極的に進めるアジア新興国にもどんどん後れを取ってしまうでしょう」

「戦略的なIT投資」ができていない日本企業

 「現在行っているIT投資が、直接的にせよ間接的にせよ、どの程度自社の利益や売り上げ拡大に貢献しているか、ほとんどの日本企業は検証できていません。戦略的なIT投資とはすなわち“自社の利益や売り上げ拡大につながるIT投資”ということですから、これでは戦略の立てようがありません。逆に米国では、“このIT投資でこれだけの利益や売り上げに貢献する”という明確な意図がない限り、投資は行いません」(黒須氏)

 また黒須氏は、米国企業と日本企業の「戦略に対する考え方」の違いも指摘する。米国企業は、何事においても他社に先駆けて行うことを是とする傾向がある。先行事例がないまま、他社に先駆けて新たな施策に乗り出すことは、確かに失敗のリスクも高く、コスト効率も悪いが、逆に先行者利益を独り占めできる可能性がある。また、そこで得たノウハウは容易に競合他社はまねできないため、より利益を独占できる可能性が高くなる。こうした投資判断こそが、本来の戦略的な投資なのである。

 一方、多くの日本企業は「先行者になる」ことをちゅうちょする傾向があり、他社の成功事例を後追いしたがる。これは確かにリスクは低いが、先行者利益はまったく得られない上、遅れて参入することで早々に技術が陳腐化し、ますます投資効率が低くなる危険性もある。

 また情報システム部門に関しては、DXで先行する米国企業の多くは、情報システム部門とは別に、DX推進のための専門部署を設けているところが多く、これに倣う日本企業も増えてきている。そのため近年では、情報システム部門の役割が相対的に低下することを危惧する声も聞かれる。

 こうした見解について黒須氏は、「全社的なITコストの最適化や、セキュリティ対策といった施策は、やはり全社規模でガバナンスを効かせることができる情報システム部門の役割として今後も残るだろう」としながらも、長期的には情報システム部門の役割は縮小するのではと予測する。

 「これまでの情報化の歴史を振り返ってみると、OSがハードウェアを抽象化し、ミドルウェアがOSを抽象化し、さらに仮想化技術やクラウドがデータセンターを抽象化するといったように、より上位のレイヤーを抽象化することで進化してきた。この進化の行き着く先は、情報子会社も含めた情報システム部門そのものの抽象化ではないかと見ています。10年後には、ビジネス部門が業務を設計すれば、自動的にシステムの構築も行われるような技術が実用化されると予想しています。そうなると、情報システム部門の主たる役割は、もはやシステムの構築ではなく、システムの品質保証などの仕事に特化されるでしょう」(黒須氏)

ベンチマークによって自社のIT投資の妥当性を検証

 では、自社のIT投資が「戦略的であるかどうか」を判断する尺度を持たない企業は、どうやって戦略的なIT投資を実現すればいいのか? ここで有効な手掛かりの一つとなるのが、「IT投資のベンチマーク」だ。自社のIT投資の内容を他社のIT投資と比較することで、妥当性を相対的に評価するという手法だ。こうしたベンチマークのサービスを提供する会社は幾つか存在するが、黒須氏が率いるスクウェイブもそのうちの1社だ。

 黒須氏によれば、ITは比較的ベンチマークの手法と親和性が高い領域だという。

 「ITの世界は次々と新たな技術が生まれ、陳腐化のスピードが速いため、技術のコストパフォーマンスが短期間のうちに大きく変わります。つまり、ベンチマークの比較対象となるレファレンス値も、短期間のうちに大きく変動するのです。そのため定期的にベンチマークを実施し、常に最新のレファレンス値と自社の状況を比較することで、自社のIT投資がその時々で妥当かどうか判断することができます」

 ちなみに、IT投資のベンチマークサービスを提供する多くの企業が、米国の先進企業の指標をレファレンス値として用いる中、スクウェイブは独自の方式で取得、集計した「日本企業の指標」にこだわる。その理由について黒須氏は、「一般的な日本企業では、売り上げに対するIT投資の比率は1〜1.5%程度ですが、米国企業では10%も珍しくありません。また技術者の人件費の相場もまったく異なりますから、米国企業との直接比較にあまり意味はありません。弊社でも米国企業との比較は可能ですが、基本的には日本のグローバル企業の指標を集計し、これをお客さまの指標と比較しています」と説明する。

 なお同社のIT可視化ベンチマークサービス「SLR(サービス・レベル・レイティング)」には、さまざまな業界の国内大手企業および地方公共団体が参加しており、これらの企業、団体のIT投資に関する指標を集計し、クライアント企業のIT投資のデータと比較することでベンチマークを行う。ちなみにレファレンス元となっている103の企業・団体の名前は全て公表されており、常に最新のデータを使ってレファレンス値を更新している。

ユーザーが自らベンチマークを実施できる「SLR.net(R)」

 「一般的なベンチマークサービスは、データの集計や比較はサービス提供側で行い、ユーザーはその結果を受け取るのみです。しかし弊社では、ユーザーが自らレファレンス値を操作しながら、さまざまな切り口からベンチマークを自由に行える環境を提供しています」(黒須氏)

 これを可能にしたのが、スクウェイブが新たに提供を始めた「SLR.net(R)」というベンチマークサービスだ。通常なら、ユーザーはサービス提供企業からベンチマークの結果の提供を待たなくてはならないところを、SLR.net(R)はスクウェイブが提供するクラウドサービスを通じて、ユーザーが好きな時にレファレンス値をダウンロードしてベンチマークを行うことができる。

分析結果は自由度の高いExcelで出力

 しかも、通常はPDFなどの静的なドキュメントの形式でベンチマークの結果が示されるが、SLR.net(R)ではExcelにレファレンス値と自社のデータがあらかじめ集計された形で提供される。ユーザーはこれを使って、即座に自社のIT投資のベンチマークを行えるだけでなく、Excelに格納されたデータに独自の編集を加えることで、例えば「他社の値が変動した場合、自社のIT投資の評価はどう変わるか?」「将来の予測値を変えた場合、IT投資の方向性はどのように変わるか?」といった、自由に値を変えながら独自のシミュレーションを実施できるようになる。

 「これまで弊社内で利用していた環境を、そのままお客さまに提供するわけです。特に、今回提供するシミュレーション機能は、過去や現在の可視化だけでなく、むしろ近未来の可視化を目指すものです。これまで他社からこのようなサービスが提供されたことはなく、極めて画期的なソリューションだと自負しています」と黒須氏は強調する。

 またこのようなベンチマークサービスは、一般的には極めて高額なことが多いが、比較的低価格で利用でき、最もスタンダードな「SLR.net(R)」の標準価格は年間120万円に設定されている。

 レファレンス値として参照できるのは他社の「平均データ」だが、場合によってはベスト10企業の個別の値を匿名で参照できたり、あるいはスクウェイブが仲介して直接ベンチマーク対象の企業を訪問して話を聞く機会を設けたりすることもあるという。「DX実現に向けて、何から始めればいいのか分からない」という企業も、ベンチマークサービスに加えてこうした機会を捉えることで、自社のIT投資がどの程度戦略的なものなのかを可視化でき、ひいてはDX実現に向けての第一歩を踏み出すことができるだろう。

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提供:株式会社スクウェイブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2018年12月19日