どの局面でどうデータを活用するか、それが問題だ:Business Objects Insight Japan 07 Fallレポート(2/2 ページ)
IT調査会社Gartnerは毎年、企業のCIOを対象にした調査「EXP CIOサーベイ」をまとめている。それによると、2006年、2007年ともにテクノロジーの優先順位のトップに挙げているのがBIだ。
CPMは、もともと財務分析の観点から発祥した考え方で、予算計画や予実の管理、予測といったプロセスや方法論、それを支える情報システムを含んだ管理体系といえる。もちろん財務にかかわるものだけでなく、企業のヒト・モノ・カネといったリソースをデータの分析と活用で最適に配置しようということを狙っている。「いわば、ERP+BI=CPMという側面もある」という。
組織的なデータ活用サイクルの取り組み
CPMへとつなげるには現状とは大きなギャップがあるのも確かだ。その差を埋めるためにも、BIを導入したらそれで終わりにするのではなく、現場が情報を活用し、発見と探求を繰り返す試行錯誤のループを根付かせることが大切だ。
ビジネスインテリジェンス・コンピテンシーセンター(BICC)と呼ばれる組織が企業のデータ活用において注目されているが、組織的な取り組みによって支援していく必要があることに企業は気づきはじめている。
「分析、IT、ビジネスという3つスキルを1人の人間が持っていることはまれ。組織的にやる必要がある」と堀内氏は言う。
韓国の鉄鋼メーカーPOSCOも分析系のシステムに課題を抱えていた。「エンドユーザーからBIに対する不満が上がっていた」と、同社の情報システムを担当するPOSDATAの情報システム部マネジャーのキム・ジョンジン氏は話す。
この課題の解決に向け、第4世代の分析システムへの移行に合わせ、利用するユーザーのレベルを再定義し、データから現場の改善テーマを顕在化させるプロセスを見直したという。また、サポートグループを組織し、24時間365日体制で、現場のユーザーを支援する枠組みを構築。BIに関する用語辞典も整備した。
これにより、これまで単なるレポーティングツールとしてしか利用していなかったほとんどのユーザーが、本来の業務の分析のために活用するようになってきている、という。
「キーワードはユーザー中心のインテグレーションだった。十分に定義されたプロセスとトレーニング、サポート、効率的なシステムがあって良い流れができてきた」(キム氏)
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