訪問先のカテゴリーの壁を難なく壊せるツールを活用:特選事例:NPO法人の協力者情報管理(2/2 ページ)
ボランティアによる企業訪問を効率の良い仕組みにするのは意外と難しい。CRMツールで情報の可視化から始めることで、見えない壁を壊せる可能性が生まれる。
在宅EVも自宅に居ながら情報共有
「Salesforce」はタブや項目の名称を変更・追加すれば、同協会の業務にそのまま利用できた。例えば入金の状況は、商談のタブで管理。ウェブベースなので、事務局スタッフはもちろん、EVも自宅に居ながら入金履歴を確認できる。
また、従来はExcelで個別に管理していた募金箱やパネルの貸し出し、講演活動の履歴も、新たにタブを作って「Salesforce」で管理。ドナー情報に紐付く形で閲覧できるようになった。
EVのキャリアをさらに活かせるようになったことも大きい。当初はEVが同じ企業に重複してアプローチするのを防ぐため、分野や業界ごとにEVの担当を決めていた。ただ、それではEVが個人的につながりのある企業や団体へアプローチできないケースも起こりうる。そこで現在はドナー情報を検索して担当のEVがいない場合は、分野や業界の壁を越えてアプローチできるように仕組みを変えた。
「導入後の06年の寄付金は約2億2000万円に達しました。その背景にはEVの方々の精力的な活動がありますが、それを陰で支えたのが『Salesforce』であることは間違いありません。セールスフォース・ドットコムさんの社会貢献活動の一環で、製品のほか、3日間の管理者トレーニング、2時間2回のカスタマイズについてコンサルティングを無償で提供していただきました。無償だから選んだわけではないですが、1カ月約60万円相当のサービスを無料で使わせていただいているので大変助かっています」と石川氏は語ってくれた。
EVの活用方法について、エキスペリエンツ・ボランティアの1人、橋本勝氏は次のように語る。
「企業を訪問する前に「Salesforce」を自宅で閲覧して、ご支援の状況を確認。それを踏まえたうえで、改めて寄付のお願いをしています。また、私たちの活動履歴もこちらで入力して、他のスタッフが閲覧すれば分かるようになっています」
その他の活用方法としては、キャンペーンの成果をまとめて評議員や賛助会員に報告するためのレポート機能や、メールで一括送信する機能も活用しているという。今後は「Salesforce」への入力方法などの改善も含めて、より情報活用が活発化する施策を進めていくという。
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