「不運」の連鎖は大相撲にも――懸賞本数の伸び悩みに見る消費者心理:景気探検(2/2 ページ)
景気の判断材料には明るい話題もあったが、11月は結果的に話の腰を折られることが多かった。大相撲でも人気力士の休場により多数の懸賞が消えた。
08年の期待は星野ジャパン
JRA(中央競馬会)のGIレースの売上高は今年6月24日の宝塚記念以降11月25日のジャパンカップまで概ね前年比プラス傾向が続いた。これは馬券を買う余裕があるということで、個人消費の底堅さを示すミクロ材料と言える。
しかし細かくみると、11月11日のエリザベス女王杯で一番人気だったウオッカの出走取り消しというハプニングが生じた。このためこのレースの売り上げは前年比マイナスとなり、連続プラスの記録は4年ぶりの5レース連続までで途切れてしまった。11月18日以降の3レースがいずれも前年比プラスであり、9連続プラスなら大きく報じられる可能性もあっただけに、アンラッキーと言える。
同様なことは経済指標でも言える。11月6日発表の9月分の景気動向指数先行DIは速報値で約10年ぶりの0.0%という衝撃的な数字となった。先行きすべての分野が悪くなりそうだと読めるからだ。改定値で実質機械受注がプラスで加われば、9.1%に上方修正されゼロから脱却できると思われた。2日後の8日に9月分機械受注の数字が発表され、国内資本財の企業物価指数が9月分発表時と同じであれば、プラスになることが判明した。
しかし、喜びもつかの間、11月12日の10月分の企業物価指数発表時に除数である9月分の物価指数がわずかに上方修正されたことで、実質機械受注はマイナス符号に逆戻りとなり、ゼロからの脱却は幻に終わってしまった。
11月30日発表の10月分の完全失業率は9月分と同じ4.0%で悪いままだと報じられた。しかし、小数第2位までみると、9月分の4.04%から10月分の3.96%まで0.08%とほぼ0.1%低下している。
このように11月はツキがない状況が続いていたが、12月に入ると、野球で星野ジャパンが北京オリンピック出場を決めた。台湾戦の瞬間最高視聴率は40.8%にも達し、国民に夢と感動を与えてくれた。08年にかけ消費者マインドなどから景気をサポートするような明るい話題がどんどん出てきてほしいところだ。
たくもり・あきよし
「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。
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