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60%の企業がJ-SOX法の文書化作業を完了 コンサル大手が調査
ベリングポイントは、日本企業の経理・財務部門における成熟度を調査した。J-SOX法への対応は順調に進む一方で、会計基準の変更に伴う対応は遅れを見せている。
ビジネスコンサルティング大手のベリングポイントは3月10日、日本CFO協会とともに、日本版SOX法(J-SOX法)など企業の経理・財務部門における取り組み状況を調査したと発表した。
同調査は、無作為に抽出した上場企業500社の財務担当役員を対象に、2008年1月に実施された。64社(約13%)からの有効回答を基に分析が行われた。
J-SOX法の整備では、約60%の企業が文書化作業を完了した。2008年度から本格化する日本の会計基準と国際財務報告基準(IFRSs)のコンバージェンス(共通化)については、約70%の企業が未完了など対応の遅れが目立った(図1)。
予算管理では、連結ベースの予算管理や非財務的指標の管理項目への追加など、高度な経営管理体制を構築しているものの、情報システムによる経営管理体制の効率化までは至っていない(図2)。
経営管理では、約90%の企業が予算値と実績値に基づいた過去ベースの業績予測を実施する一方で、非財務的な先行指標を基にした業績予測は、約5%の企業しか実施していない(図3)。
同社の川野克典マネージングディレクターは、「経理・財務部門は、直面する課題に追われて抜本的変革が遅れている。経営者は、J-SOX法や一連の会計基準の変更を単なる経理・財務部門の問題ととらえるのではなく、経営上での基本ルールの変更だと認識する必要がある」とコメントした。
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