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【第8回】世にもおかしな日本のIT組織(7)〜日本版ワークフローは「Wii」+「Fit」の発想で三方一両得のIT論 IT部門がもう一度「力」をつける時(1/2 ページ)

紙と判子で意思決定がなされる日本のワークフローに、デジタル的な発想でいくら奮闘しても多勢に無勢。しかし、日本版ワークフローシステムの実現は不可能ではない。ヒントは任天堂の「Wii」+「Fit」。アナログで発想することだ。

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 紙と判子で意思決定がなされる日本企業――前回の紹介した悩ましい慣習はあるものの、日本企業のこだわりに合致した日本版ワークフローシステムを考えてみたい。

ワークフローの見せる化

 紙よりも良好な回付のトリガー(きっかけ)を実現する方法を考えてみよう。誰もが考えるのが、まずは電子メールを飛ばすことだ。電子メールはシステムが自動的にで本人に回付があることを知らせることができる。しかし、いざスタートしてみると、このメールは大変な公害になる。企業組織はピラミッドになっていて、上位職に行けば行くほどフローが集中してくるからだ。社長や事業部長の下には、企業の中のさまざまなシステムから毎日「フローが回付されました、確認してください」というメールが何通も飛んでくることになる。

 朝、出勤してPCを立ち上げてメールソフトを起動すると、このメールでいつまで経っても受信が終わらない状況に陥る。しかも、同じシステムのお知らせメールが案件ごとに無数に飛んでくる。重要な案件がそのメールの山に埋もれてしまい、見落とす、見るのが遅くなる――というような公害が起こる。

 では、メールを止めればどうだろうか。今度は承認が遅れることになる。もっとアナログ的にフローの中の人間に決裁書の回付を知らせる方法が必要なのだ。

 例えば、PCのポータル画面に「決裁書が届いていますよ」というアラートを表示するのはどうだろうか。それも単純にメッセージを出すのではなく、紙の決裁書のイメージでたまっている様子を物理的に分かるような表現ができるといいだろう。席に戻ったときに決裁未決ボックスに書類が積みあがっているのと同じように、処理しなければという気持ちを引き起こせるかもしれない。

 このように、どうしてもデジタル的な表現になりがちなユーザーインタフェースを、視覚に訴えるアナログ的な表現にすることが重要だ。

根回し型経路設定

 これは、職務規定で決められている必ず通らなければならない確認者、決裁者だけにしばりを入れ、それ以外は自由に経路を設定できる仕組みがあれば解決できそうだ。基本経路は起案者が設定するが、確認者が次に回したい人を動的に変更できるようにするのだ。

 案件ごとに根回しが必要な幹部が追加、修正できれば、現状の紙の決裁回付と同等の安心感が得られ、しかも早い回付が可能になる。また、決裁結果を知らせればいいだけの人には、決裁処理が完了したと同時に結果を同報発信機能で知らせる。そうすることで、各部門で決裁書のコピーを取る必要もなくなり、ペーパーレスも促進される。これで解決できるかもしれない。

添付書類の簡単見える化

 最後に添付書類の課題解決だが、単純に添付書類をPDFにして添付してもいちいち開いて中身を見るのは面倒だ。クリップで留めてある書類をめくるように決裁書、添付資料を見られたり、机の上に並べてみるのと同じように閲覧できるなど、PCが本当のデスクトップ(机の上)のように使えれば、紙の決裁書と同じようにストレスなく内容の確認、理解が可能だ。

 このように添付書類の見せ方もデジタル的ではなく、アナログ的なユーザーインタフェースを考えなければならない。こういった配慮が、迅速、簡単にワークフローを動かす原動力になる。添付書類についてもインタフェースの改良で、かなり解決に近づくはずだ。

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