【第1回】脱Excelで業績管理のスピードが向上:BPMで経営に改革を(2/2 ページ)
会社の業績は良好か? 問題があるとしたら、それはどこなのか? この質問にあなたは即座に答えられるだろうか? それができないとしたら、あなたの会社もそろそろ業績管理ソフトの導入を検討する時期かもしれない。
中堅企業こそBPMの主要なマーケットだ
従業員150名を擁するモートン・グローブの成功事例は、従来エンタープライズクラスの製品であったBPMをミッドマーケットにも浸透させる契機となった。コロラド州ボルダーのエレベーションズ信用組合(組合員7万6000人、総資産7億ドル)の情報技術担当副社長、ジョン・マッカートニー氏に話を聞いてみよう。
エレベーションズ信用組合が新タイプの定期預金(CD)のプロモーションを実施したとき、組合理事たちはマイクロソフトの「Business Scorecard Manager」によって、新しいCDがヒットしたことを直ちに知ることができた。多くの利用者が新規に預金口座を開設したのだ。
この情報を元に、同信用組合はマーケティング手法を見直し、プロモーションのオファーを拡大した。マッカートニー氏は語る。「従来、新規預金の情報は2週間たたないと上がってこなかった。そのため新商品のマーケティングを柔軟に変更することは難しかった」
ほとんどのビジネスソフトウェアと同様、BPMも最初は資金力のある優良企業や「Forbes Global 2000」などにランクされる大手企業が主なユーザーだった。中小の企業はExcelのスプレッドシートを使って、業績を監視するしかなかった。
しかし、いまや急成長を続けるミッドマーケットの企業は、ビジネスソフトウェアの最先端ユーザーだ。予算作成や事業計画が複雑化するとともに、要求される財務レポートも複雑化した。大企業やその子会社などでは、事業展開もグローバルになり、業績評価も簡単にはできなくなっている。多くの中堅企業も、さまざまな財務システムを利用しているが、やはり迅速かつ効果的、標準的な方法で、システム全体を俯瞰(ふかん)し、業績評価をレポートできるツールを必要としている。予算作成や計画立案を迅速化し、異なるシステムやユニットのデータを集約する能力を求めているのだ。それを実現できるのが、BPMである(ビジネス評価管理とビジネスプロセス管理を混同してはいけない)。
コネチカット州スタンフォードの独立系コンサルタント会社、BPMパートナーズは今年、いくつかのベンダーおよび雑誌系のWebサイトでアンケート調査を実施した。その結果から、予算作成と計画立案がいまだに企業の最も苦労するポイントであり、それらのプロセスを円滑化することがBPM導入の典型的な動機になっていることが明らかになった。「予算作成と計画立案プロセスは、いまも最大の難所だ」と指摘するのは、BPMパートナーズのサービス開発担当副社長、ジョン・コルバート氏だ。「ベンダーにとっては売り込みの大きな機会と言える」
興味深いことにアンケート調査の結果は、データのビジュアル化がBPMの導入を促す大きな要因の1つになっていることも示している。企業の経営陣は、明らかにExcelの平凡な棒グラフや円グラフよりも、もっと進化した直感的なグラフで、瞬時に理解できる正確な情報を求めている(ガートナーの推計によると、全世界の企業の60%は、いまだに予算作成の主要ツールとしてExcelを利用しているという)。
BPMの導入が加速していることに疑問の余地はない。2006年に開催されたガートナーのBIサミットにおいてBPMパートナーズが実施した調査でも、企業が導入を検討する分析アプリケーションの中で、BPMは最も優先順位が高かった。また調査対象となった531社の70%以上が、BPMプロジェクトを進行中か、現在計画段階にあると回答した。比較的規模の大きい中堅企業だけに注目すれば、その比率は80%近くに上昇する。「これらの数字は、いずれも正しいトレンドを示している」とコルバート氏は語る。
既にBPMを導入済みの企業では、およそ半数が新しいプロジェクトを立ち上げつつあると回答。そのうちの3分の1は、既存プロジェクトの拡張を計画しているが、13%の企業は今後サプライヤーを変更するとしている。「われわれは現在の状況を“BPM 2.0”と呼ぶ。全社レベルの導入、あるいはより多くのスタッフやデータが関与する新しい段階を迎えた」とコルバート氏。
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