あなたは部下の変化に気付いているのか?:問われるコーチング力(1/2 ページ)
社員の職離れを防ぐためには、彼らの欲求を満たしてあげる必要がある。たとえ卓越したコーチング技術がなくても、ちょっとした気付きさえあればうまくいくはずだ。
前回、新入社員の離職を防ぐには、マズローが提唱している欲求5段階のうち、「所属」と「承認」の欲求を満たすことが必要であると書いた。今回は、管理職の皆さんが部下の日々のマネジメントに生かす具体的な方法をお伝えしたいと思う。前提として、大企業にお勤めの方であれば表の最下層である「生理的欲求」「安全と安定の欲求」が満たされていると仮定する。
「所属」と「承認」の欲求を「組織における人の成長」に置き換えて考えると、次のようになる。
「所属」の欲求――「会社・仲間から大切にされたい、目を掛けてもらいたい」「自分がここにいて、頑張っている姿勢を理解してほしい」
「承認」の欲求――「会社・仲間から認められたい」「自分自身を認めている」「自分がしている仕事内容を理解して、難易度を共感してほしい」
部下の欲求を満たす方法を知る一番は、まず自分自身の経験を振り返ることである。3分間ずつで良いので、次のそれぞれの質問に対する答えを書き出してみてほしい。
Q1.あなたが上司から掛けられたうれしかった言葉は何か?(できるだけたくさん書く)
Q2.上記は、どんなタイミングだったか?
Q3.上司がそのタイミングであなたに言葉を掛けることができた理由は何か?
どのくらい書き出せただろうか? 部下のマネジメントが上手な方は、普段から部下にどう声を掛けるべきか考えているため、すらすらと書き出せる傾向にある。なかなか書けなかった方は要注意である。部下への意識が少し低いと考えた方が良い。
さて、Q1.の答えを2つの視点で改めて眺めてほしい。
【視点1】欲求5段階のうち、「所属」と「承認」の欲求を満たしているだろうか
【視点2】「所属」と「承認」の欲求のどちらに分類できるだろうか
恐らく、Q.1のほとんどの答えは、「所属」と「承認」の欲求を満たす言葉(視点1)ではないだろうか。一方で、「所属」と「承認」の欲求は、現実的にはあまり意識的に区別されていない(視点2)と思われたのではないだろうか。
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