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【第3回】スコアカードで迅速な情報処理が可能にBPMで経営に改革を

大切なのは業績管理ソフトを導入するだけでなく、経営層がどのようなデータを、どの程度の頻度で、どのように提供するかを合意形成することだという。

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 エレベーションズ信用組合は、高くそびえ立つ課題に直面していた。貸付や預金など、さまざまな事業分野でなにが起きているか、一貫した視野を持つことができなかったのだ。コロラド州ボルダーに7つの支店を構える信用組合は、マニュアルのスコアカードを開発したものの、マネジャーたちが事業展開に反映できるほど迅速に情報を処理することができなかった。

 スコアカードの自動化が解決策の1つであることは明らかだった。

 エレベーションズ信用組合の情報技術担当副社長、ジョン・マッカートニー氏は、「Microsoft Business Scorecard Manager」を採用する前、さまざまなスコアカード型アプリケーションを調べたが、最終的な決め手は、組織内におけるマイクロソフトの圧倒的な存在感だった。「私は統合化された製品を最も重視する」とマッカートニー氏は語る。

 エレベーションズ信用組合(組合員7万6000人、総資産7億ドル)のような中堅企業の多くは、マイクロソフト製品を利用して日常業務を遂行している。スコアカードなど、業績管理(BPM)ソフトの導入にあたって、多くの中規模企業がレドモンドの呪縛(じゅばく)から逃れられないのは、それほど驚くことでもない。

 エレベーションズ信用組合ではWindowsを利用しているほか、つい最近、Microsoft SQL Server 2000からSQL Server 2005へアップグレードしたばかりだ。当然、SQL Server 2005のレポーティングサービスで、それまで利用していたビジネス・オブジェクツのクリスタルレポートをリプレースすることになった。Business Scorecard ManagerはSQL Serverのシンプルなプラグインで、Active Directoryと統合化されていたため、マッカートニー氏はパーミッションとセキュリティがビルトインされていることを知っていた。インストールは地元のITサービス会社、マネージド・ビジネス・ソリューションズが担当した。

 実は、もう少しでマッカートニー氏は別のスコアカード製品を選択するところだった。だが資金や人材が限られる中堅企業にとって、その製品には大きな難点があった。「それはスタンドアロン製品で、別個にセキュリティ環境を管理する必要があった」とマッカートニー氏。「なるべくならそうした仕事を増やしたくなかった。また率直に言って、そのソリューションは2倍も高価だった」

 しかし、スコアカードだけでは、同信用組合の問題を解決することはできなかった。マッカートニー氏は、事業展開の重要な課題を明らかにし、すべてのエグゼクティブが共通の認識を持つことが重要だと考えた。エレベーションズ信用組合の場合、それはローンと預金を伸ばすことだった。「われわれの最大の課題は、エグゼクティブチームの間で、どのようなデータを、どの程度の頻度で、どのように提供するかについて合意を形成することだった」とマッカートニー氏は振り返る。

 例えば、預金については2つの異なる見解があった。議論を積み重ねた結果、エグゼクティブチームはデイリーベースの変動を追うのではなく、総勘定元帳に計上される数字に注目することで合意した。そこで得られたコンセンサスは、マネジャーたちの間でビジネスの視点を明確にすれば、総勘定元帳の精度も高まるというものだった。

予算とその作成の実態

スプレッドシートが多過ぎると、期待と現実の間にギャップが生まれる。

88%……年間予算の計画と結果に5パーセント以上の開きがある(全回答企業)

78%……予算の作成と予測にはスプレッドシートを主に利用する(全回答企業)

68%……予算の作成と予測にはスプレッドシートを主に利用する(大企業)

68%……年間予算の作成に3カ月以上かかる(大企業)

52%……年間予算の作成に3カ月以上かかる(中堅企業)

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回答数=800(全体の32%は年間収益5100万ドル-5億ドル規模)

資料:「BPM BENCHMARKING SURVEY」、BPMパートナーズ、2006年12月



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