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DMを「レガシーツール」ではなくサイエンスとして扱え脱インダストリーのマーケティング(2/2 ページ)

消費者意識の激しい変化をつかむには、「個」への訴求が欠かせない。そのとき、古臭いツールと思われがちのダイレクトメールが力を発揮する。

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離反を防ぐ有効な手段

 顧客が離反するには、あるタイミングがある。全体的に見ると、疎遠月数が7カ月になると、離反するケースが多い。Aランクの顧客の場合は、4カ月疎遠になると、離反する可能性が高くなる。さらに、顧客維持率を見ると、疎遠月数が5カ月以内では54%だが、6カ月以内になると34%に急落する。だとすれば、そうしたタイミングを見計らって離反防止の手を打てばいいということになる。

 その方策の1つにDMがある。DMは、レガシーで無駄の多いツールだと思われがちだが、誕生日DMのレスポンス率を見ると、プロモーション効果(費用対効果)を十分に評価できるものであることが分かる。

 DMは対象を絞り込めば、絞り込むほど、また上位ランクの顧客ほどレスポン率は高くなる。したがって、顧客をセグメンテーションするためにRFM分析(Recency、Frequency、Monetary)がよく行われる。これは、分かりやすく言えば、顧客の最新購買日、累計購買回数、累計購買金額を基にランキングを作成するというものである。しかし、これではダイナミックに変化する顧客の動きを捉えることができないので、顧客とのリレーションには結びつかない。RFM分析は下位ランクの顧客の切り捨てるためのものである。

 DMは手書きの方がいいと言われるが、実際には手書きであっても、印刷であっても、レスポンス率は大して変わらない。重要なのはコンテンツなのだ。コンテンツの内容が、どれだけ顧客の関心を引き付けるかが問題なのだ。

 また、ブランド強調にデザインの力点を置いたDMや、販売員の写真掲載とブランド強調のいずれかを盛り込んだDMは、レスポンス率が高い。しかし、販売員の写真掲載とブランドの強調の両方を盛り込むとレスポンス率は低くなるし、まだツデザインに力点を置いたDMもレスポンス率は低い。

 このように、さまざまな組み合わせによって、DMのレスポンス率は変わってくる。その意味では、DMはアートではなく、むしろサイエンスであると言える。(早稲田大学 IT戦略研究所主催「エグゼクティブ リーダーズフォーラム 第21回インタラクティブ・ミーティング」での講演をもとに構成)

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