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【第3回】牛ふんもエネルギー資源として活用消費電力と闘うCIO(2/2 ページ)

エネルギーの資源不足が世界的に深刻化する今、その確保に向けて各社ともしのぎを削っている。中でも特にCIOは、データセンターの省エネ化などに向けてグリーンITの旗振り役として期待される。ユニークなアイデアが登場する一方で、取り組むべき課題も多いという。

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冷却方式の固定概念を取り除け!

 クレディ・スイスは水冷方式でユニークなアプローチを採っている。夜間の安価な電気料金で製氷し、日中の冷却に用いているのだ。このシステムは今夏開催された「次世代データセンター」イベントのグリーンプロジェクトに関するパネルで議論された方式だが、聴衆は、電気代の節約であってエネルギーの効率的利用ではないと嘲(ちょう)笑した。「人それぞれ考え方はいろいろだ。しかし実際に目にすれば、その考えは変わるだろう」と、クレディ・スイスのプロジェクトを手がけたEYPミッション・クリティカル・ファシリティーズのCTO(最高技術責任者)であるキファー・ゴッドリッチ氏は胸を張る。「信じてもらいたい。金融機関は常に先端技術のリーダーだ。彼らのやっていることはトレンドを先取りするもので、市場もポジティブに評価、学習すべきだ」

 とはいえ、漏水のリスクを考えれば、ほとんどのCIOはサーバを水で冷やそうとは思わないだろう。サーチデータセンター・ドットコムの調査でも、回答者の65%は、データセンターに液体冷却方式を導入することに否定的だ。

 しかし、エマーソン・ネットワーク・パワーの子会社リーベルト・プレシジョン・クーリングのマーケティング担当副社長フレッド・スタック氏は、ほとんどのCIOが水冷方式と液体冷却方式を混同していると指摘する。例えば、液体冷却に用いられるフロンは空気の380倍、水の40倍もの熱容量を持つが、フロンは漏出すると気化するのだ。「液体冷却については、誤った先入観を改めるべきだろう」とスタック氏は語る。

 データセンターの効率化を図るもう1つの革新的なアプローチがある。それはコンテナ型データセンターだ。サン・マイクロシステムズの「Blackbox」やラッカブル・システムズの「Concentro」がそれに当たる。

 コンテナ型データセンターは安価な電力を求めてさまざまな場所に移動できるメリットがあるが、エネルギー効率の面で特筆すべき点は、高密度化と冷却しやすい設計だ。業界では「クローズド・ループ」と呼ばれ、データセンター内の空気を外部に放出するのではなく、内部で循環させる仕組みになっている。

 ラッカブルは、内部に組み込まれた冷却技術によって、従来の方式より冷却コストを80%削減できるとしている(ヴィアス氏はConcentroの導入を検討したが、プロプライエタリなソリューションであることがネックになった)。

 データセンターのエネルギー効率化を加速する技術が、先を争って押し寄せている。コストセービングや仮想化、ブレード技術からグリーンムーブメントまで、いまや米国全土を席巻しつつある。「データセンターの管理者は今日、アプリケーションの可用性やセキュリティ、エンドツーエンドのトランザクション能力の向上などに取り組んでいるが、今後は同様にエネルギーの最適化についても頭を悩ませなければならないだろう」とIBMのレクナー氏は語る。

 多くのCIOも同意する。IDCが調査したIT管理者の5人に2人は、データセンターにおける今年最大の関心事は、「可用性」や「冗長性」を押しのけ、「電力」と「冷却」だったとしている。電気料金はこれまで施設管理者の領域だった。しかし、いまやCIOも関与、あるいは少なくとも支払いの説明責任を担うべき事柄になった。「われわれのIT部門は事業ユニットとみなされている。エネルギーコストは施設予算ではなく、IT予算に組み込まれている」とヴィアス氏。いまやエネルギー管理もCIOの仕事に含まれるようになった。

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