建物もグリーン化、日米双方とも法規制がきっかけ(2/2 ページ)
環境問題に対する企業活動が熱を帯びる中、入居するビル施設それ自体の省エネ化、グリーン化が注目を集めている。ただしすべてがメリットを感じて自発的に取り組んでいるわけでもなさそうだ。
新築ラッシュで環境がビジネスチャンスに
ただしいくら環境に悪影響を及ぼしているとはいえ、グリーンビルディングに取り組むことでメリットを得られなければ、企業は本腰を入れないのではなかろうか。それに対して「大きなビジネスチャンス」とリンチ氏は力を込める。今後22年間で全世界の既存建築の75%以上が新築または再生し、米国でも50%が新築になるという*1。
「米国ではグリーンビルディングが注目を集めている。特に不動産オーナーはその重要性を理解し始めている。建て替えなどに伴い初期コストは掛かってしまうが、運用コストは抑えることができ、長期的に見れば大きなメリットがある」(リンチ氏)
また、グリーンビルディングに対応している建物であれば、テナント賃料を高く請求することも可能だという。
「企業アピールとして米国では1990年代に環境マネジメントシステムに関する国際規格『ISO14001』の取得が相次いだ。現在はグリーンな施設への入居がアピールポイントになっている」(リンチ氏)
企業は法規制で動く
日本でもようやくグリーンビルディングへの意識が高まりつつある。しかしながら「省エネ法」(経済産業省)や「環境確保条例」(東京都)などの法規制に対応するため、やむを得ず取り組むという後ろ向きな企業が多い。米国の状況はどうか。
リンチ氏は「最近は政府レベルでの動きが活発になっている。例えば新たに建設するビルは環境を考慮したものでなければならないなど、積極的な方針を打ち出している。企業にも環境に対する意識は浸透してきているが、最初は規制への対応がトリガーになっていた」と述べた。
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*1 参考:http://www.architecture2030.org/
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