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競争力を高めるベストプラクティスを探せWeb革新を経営に取り込む(3/4 ページ)

いまださまざまな解釈と評価に分かれるWeb2.0。しかし、すでに経営のあらゆるシーンで、その成果が上がりつつある。顧客と経営をより密接につなぎ、収益性もアップ──。そんな実例をレポートする。

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03 銀行サービス:ポッドキャスト・バンキングがこれからの可能性を拓く

 長年、シティ・ナショナル銀行は、投資家たちにマーケットの最新情報を提供するため、電子メール形式のニューズレターを発行していた。しかし、クライアント側でスパムフィルタの設定を間違えてニューズレターが届かないことも多かった。

 年間収益8億4800万ドルの同行は、すべての顧客にタイムリー、かつ信頼性の高い方法で情報提供を行う必要があった。そこで2006年1月、電子メール形式のニューズレターを改装、顧客にRSSフィードの購読を勧めた。これにより、スパムフィルタの問題は解決し、顧客との間に新しいコミュニケーション・チャンネルを得ることができた。

 「Web2.0は多くの企業にさまざまな利益をもたらす。特に金融サービス分野には最適だ」と語るのは、1999年からCIOのジョン・ビール氏とともに同行の電子コマースを推進してきた上級副頭取のマーク・ミドルブルック氏だ。

 顧客向けにRSSフィードとポッドキャストを開始する以前から、同行のスタッフは行内のイントラネットで、毎週、最高投資責任者の音声によるマーケット情報を聞いていた。同行の幹部は、その内容に若干手を加えて一般公開することにしたのだ。Webの経済性と利便性は明らかであり、そのアイデアが上級エグゼクティブたちのサポートを勝ち取るまでに、それほど時間はかからなかった、とミドルブルック氏は振り返る。

今後はAjaxなどインタラクティブな操作性を

 ポッドキャストとRSSの運用に携わるミドルブルック氏のチームメンバーは、市販のHTMLオーサリングツールでフィードを作成している。シティ・ナショナル銀行では現在、マンスリーで金融、国際ビジネスのアウトルックを、またウイークリーでマーケットの最新トレンドをポッドキャストし外為動向やSEC(証券取引委員会)関連情報など7本のRSSを流している。

 「ポッドキャストやRSSフィードは、われわれのクライアントや行員同士を結ぶ重要なコミュニケーションツールだ。シティ・ナショナルはこの技術のアーリーアダプターであり、そのポジティブな利益を十分認識している」とビール氏は語る。

 多くのCIOと同様、同行のWeb戦略はビール氏が統括しているが、それらのツールのテストや実装は、マーケティング役員の配下でIT部門と緊密に連携するミドルブルック氏の担当だ。

 同行では現在、ブログを次の情報ツールとベストプラクティスポータルに利用することを検討している。またWebサイトにAjax(Asynchronous JavaScript and XML)を導入することも計画中だ。ミドルブルック氏によると、現時点ではまだ検討段階だが、Ajaxを利用すれば、さまざまなプログラミングツールを組み合わせて、ユーザーのリクエストを瞬時に処理できるインタラクティブなWebアプリケーションを構築できるという。

 「今後も付加価値を高める効果的な手法として、これらの技術を着々と導入していく」とミドルブルック氏。ともかくフィードへの需要は増加する一方だ。「その点からも、われわれが正しい方向へ進んでいることは間違いない」と同氏は語る。

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