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「思考の枠」が固まった組織は成長しない問われるコーチング力(1/2 ページ)

相次ぐ無差別殺傷事件。これは自らの欠点をすべて世の中のせいにするなどという独りよがりな考えが引き起こした結果だという。ビジネスの世界においても、こうした凝り固まった思考は禁物である。

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 7人の犠牲者を出した秋葉原での殺傷事件や八王子の書店での通り魔事件など、無差別に人を傷つける事件が数多く発生している。わたしは、この原因は「思考の枠」に関係するものだと思っている。

 前回、優秀なリーダーほど自己変革が難しく、理由として、(1)成功者として自信がある(2)楽観している(3)苦言を呈する人がそばにいない、ということが挙げられると述べた。変化の激しいこの時代では、自己変革をしないリーダーを持つ組織は生き残れない。リーダーが自己変革をするためには、この思考の枠を認識し、それを広げていくということが不可欠だと考える。

思考の枠
思考の枠

 「思考の枠」とは、思い込みや固定観念のことである。「思考の枠」が固く、厚い人の特徴は次の通りである。

  1. 自分が絶対に正しいと思っている人
  2. 自分以外が問題だと思っている人
  3. 行動変革をしない人

 反対に、「思考の枠」が薄く、拡大する人は次の通りである。

  1. 自己否定できる人
  2. 人の意見をいったん素直に受け入れる人
  3. フィードバックの大事さを常に考える人

 「思考の枠」が厚いと、人の成長を妨げる、勝手に解釈して行動する、といった弊害を生む。人間は本質的に、自分の都合の良いように考え、見たいように見る傾向がある。風評やうわさなどを聞いて、「あの人はこういう人である」「これはこういう意味である」と自分で勝手に考える。職場で、××さんに対して「ルーズだ」「仕事が遅い」と思ったら、今後もそうとらえてしまうし、「まじめな人間だ」と思ったら、そのように見えてしまう。人間は「思考の枠」にはめられたら、すさまじく窮屈に感じる。

 「君はミスが多い人間だ」「君は仕事が遅い人間だ」「君はこういう人間だ」。上司にこのように思われると、部下はとてもつらい。仕事ができなくなるか、転職するか、精神的に病んでしまう。

 子どもについても同じである。子どもには無限の可能性があり、どこまで伸びるか分からない。もしかしたら、タイガー・ウッズやイチローのようになるかもしれない。しかし、親が「思考の枠」にとらわれ、型にはめてしまうと、成長しなくなってしまう。「思考の枠」は人の成長をも妨げるのである。

 また、「思考の枠」によって、人間は事実で行動するのではなく、解釈で行動するようになる。わたしのセミナーで実施している次のクイズを見てほしい。

思考の枠を広げるクイズ
思考の枠を広げるクイズ

 わたしは参加者にやってもらう際に、このクイズのゴールと条件を10回以上読む。しかし、誰も聞いていない。早く解けた人は「何をとぼけたことを言っているんだ」という顔をして、ぽつんと退屈そうに待っている。解けない人は一生懸命自分でやっている。終了したときに、どうしたらみんな早く達成できるのかと質問するが答えられない。なぜだろうか?

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