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「思考の枠」が固まった組織は成長しない問われるコーチング力(2/2 ページ)

相次ぐ無差別殺傷事件。これは自らの欠点をすべて世の中のせいにするなどという独りよがりな考えが引き起こした結果だという。ビジネスの世界においても、こうした凝り固まった思考は禁物である。

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「思考の枠」はどんどん固くなる

 3番目の条件に再び目を向けてほしい。

3.答えをすでに知っている人は、自ら話してはいけない。

 これを読んでどう思うだろうか。「自ら話してはいけない」ということは、人と協力していけない、1人で考えないといけないと思うのではないか。しかし、ここには「自ら話してはいけない」と書いてあるだけで、聞かれれば教えてもいいし、答えを見せてもいいのである。つまり、「人と協力してはいけない」「自分で解くものだ」と勝手に思い込み、そう解釈すると、それに基づいて行動してしまう。事実を見なくなる、いや、見えなくなるのである。事実と解釈は違う。人は解釈で動いている。それにまず気付かなければならない。これが「思考の枠」である。

 最近はこの「思考の枠」が固く、厚い人が増えている。孤独を好み、対話をしなくなると、「思考の枠」は固くなる。数多く起きている殺傷事件。1人で自分の世界に入り、「自分は正しい、悪いのは自分ではなく世の中だ」と思い込み、人を傷つけるという事件を引き起こす。他人という視点がなく、自分だけを考えている。

 組織の中でも、自分の成果ばかり追及していくと、「思考の枠」が固い人の集まりになる。自分はマーケティングが得意だから、マーケティングだけやればいい、ほかは関係ない。そうなると、組織は成長しないし、組織として能力を発揮できなくなる。この点については、次回詳しく述べたい。

 「思考の枠」は放置しておくと、どんどん厚くなっていく。意識して、広げるようにしないといけない。それでは、どうしたらこの「思考の枠」は広げられるだろうか?


(1)ゴールを明確にする

自分が現在取り組んでいることが何のためなのか、なぜ今このことを行っているのか、ゴールを明確にする。

(2)他者の視点を持つ

自分のためではなく、他者の視点を持つ。

(3)自分を客観的に見る

自分が周りからどう見られているか、客観的な視点に立って考える。

(4)勉強を続ける

基礎的な知識を持っていることはとても大切である。セミナーに行ったり、本を読むなどして、いろいろなことを勉強し、自分に足りないものが何なのかを認識する。


 わたしは、世の中の問題はすべて「思考の枠」が原因だと思っている。繰り返しになるが、「思考の枠」は放置すると、どんどん厚くなるばかりである。それを認識し、広げる努力をする。それが自己変革の第1歩である。


プロフィール

細川馨(ほそかわ かおる)

ビジネスコーチ株式会社代表取締役

外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。


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