ディザスタリカバリ対策──6つのステップ【後編】:事例から学ぶ(2/2 ページ)
あらゆる企業にとって必要な情報システムの災害対策。経営者がIT部門を“金食い虫”と認識している場合は十分な予算確保ができないという。CIOは対策をアウトソーシングするなど投資コストを抑える努力をいとわない。
災害対策は常に変化させるもの
Step05
ビジネスの動き、脅威の内容について定期的にレビューしシステムを更新する
ITインフラの変更に伴って対策に不備が生じないように、定期的に対策のレビューを行う必要がある。また、ビジネス幹部とIT部門が定期的に協議しながら、最新の動向を踏まえる必要もある。既存の技術は毎年、新しい技術は登場に応じて、レビューしなければならない。脅威についても、現状と潜在的な影響を定期的に再評価すべきだ。
ビジネスは常に変化しており、DR/BC対策もそれに合わせて変えていかなければならない。
「新しいビジネスラインが対策でカバーされているか」「終了したビジネスプロセスサービスがDRシナリオから除かれているか」など定期的にチェックする必要がある。
「ディザスタリカバリは、変更管理の一環として考えなければならない性質のものだ」とクロジニュースキー氏は語る。
ライフギフト臓器寄贈センターでは、DR対策は技術の変化に応じて適切に更新されている。コンピュコムにDR対策をアウトソーシングした同センターは、同社の対策状況に満足し、IT業務全体を同社にアウトソーシングするに至った。
「ディザスタリカバリのコストは、計画されていた投資額の7〜8%で済んだ」と、実質的に同センターのCIOの役割を務めているコンピュコムのバルマー氏は語る。「われわれは、同センターの幹部の予想より大幅に少ない費用で対策を講じることができた。リカバリ時間目標も短縮した」
Step06
年1回、あるいは変更が行われた際はテストを実施する
実効あるDR対策を講じるには、年1回、および対策に影響する変更が行われた後で、フルテストを実施しなければならない。
フェールオーバーシナリオが実際に機能することを、われわれはいざというときのために確認しておく必要がある。
テストにはリスクが伴う。計画的なダウンタイムが必要になるため、ビジネスに影響する可能性があるからだ。しかし、テストを行わないのはもっと危険だ。
技術だけでなく、プロセスのリハーサルも必要になる。災害や障害が実際に発生したときに何をすべきかを、社内に周知徹底するためだ。「企業はテストが足りない」とGartnerのスコット氏。「対策を講じていても、テストをしていなければ、講じていないのと同じことだ。決して安全とは言えない」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 四川省大地震、ハイテク企業に被害なし?
中国・四川省を突如襲った大地震。被災都市の成都や重慶には、オフショア開発などの拠点として日本をはじめ数多くの海外企業が進出している。IT・ハイテク企業を中心に各社の被害状況を聞いた。 - 岩手・宮城内陸地震:日立電子サービス 宮城県の東北支社に現地対策本部を立ち上げ
日立電子サービスは6月14日8時43分頃に発生した岩手・宮城内陸地震で宮城県の東北支社に現地対策本部を立ち上げた。 - トレンドフォーカス:想定外の危機で企業の明暗を分けるもの(前編)
政府や自治体、企業などで事業継続への関心が高まるっている。BCM(事業継続管理)やBCP(事業継続計画)を本格的に導入する動きが活発化している。 - 外付型ストレージ市場をけん引する金融システム統合やDR投資 大手製造もファイルデータ増加に積極対策
- 災害時に迅速な対応を 明治乳業が新工場をフルIPネットワーク化