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【第3回】新興国市場を狙うグローバル戦略加速するグローバル人材戦略(2/4 ページ)

かつては低コストで労働力を提供する場に過ぎなかった新興国は、魅力的な市場に変貌するとともに、自らも競争力を高めて大きく経済成長を遂げている。キリン、ナイキ、ネスレなどの事例から新興市場攻略の糸口を探る。

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先進企業のグローバル戦略

 世界規模で明快な集中と選択を行う企業がある。スポーツブランドの米Nikeは、マーケティング機能やデザイン開発機能に特化し、製造業務については中国やインドの企業に生産委託をしている。「ナイキ」というブランドマーケティングこそがコア業務であり、製造業務は競争力を生まないのだ。ほかの例では、かつてのIBMにおいてPC製品のコールセンターは日本国内ではなくオーストラリアのブリスベンに存在した。オーストリア在住の日本人を採用し、日本人向けのサポートを実施していた。在日外資系の事例として、米Honeywell社の日本法人には会計部門が存在しないと言われる。経費清算業務などの会計業務はすべてインドにアウトソーシングされ、集約されている。

 どのように販売していくか、明快なグローバル戦略もある。アパレルメーカーのユニクロは、グローバル競争には規模が必要だとして、海外でのM&Aを成長の柱にしている。2010年で総売上高1兆円を大目標に掲げている。現在は中国での店舗数を100店舗まで拡大することを目指し、ロシアやインドなどの新興国市場への自力参入も検討している。

 グローバル市場ではなく地域市場に焦点を当てる企業もある。キリンの目標は、2015年にアジア・オセアニアのリーダーとなることだ。「キリン・グループ・ビジョン2015」(2006年発表)では、「酒類、飲料、医薬を主力事業として、アジア・オセアニアのリーディングカンパニーを目指します」とある。グローバル企業というよりも、アジア・オセアニアの地域企業としての生き残り宣言でもある。今後キリンの成長施策とは、アジア・オセアニア地域内での新市場参入もしくは新製品投入、つまり参入していない新興国市場(タイ、インドネシアなど)への参入か、既存市場への新製品(ワイン、洋酒、飲料、医薬など)投入か、2つの大きな方向性に集約される。

キリンのグローバル戦略
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