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【第3回】新興国市場を狙うグローバル戦略加速するグローバル人材戦略(1/4 ページ)

かつては低コストで労働力を提供する場に過ぎなかった新興国は、魅力的な市場に変貌するとともに、自らも競争力を高めて大きく経済成長を遂げている。キリン、ナイキ、ネスレなどの事例から新興市場攻略の糸口を探る。

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 前回は、グローバル企業における基本理念の構造と事例について述べた。基本理念とは、使命(ミッション)、価値観(コアバリュー)、将来像(ビジョン)から成り立ち、企業の存在危機や組織改革、企業設立などの成長環境に合わせた構築と実施が必要となる。今回は基本理念を実現するための施策となるグローバル戦略について考察したい。

グローバル戦略の位置づけ
グローバル戦略の位置づけ

 基本理念を達成するためには、事業の指針となる戦略が必要である。企業の使命や将来像の実現のため、どのようにグローバリゼーションを進めるのか。グローバル化かローカル化かの問いに、機能、地域、製品ごとに答えが必要である。

 例えば米Googleの使命である「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を達成するためのグローバル戦略とは、世界中のどの国でどのようなサービスを提供するかである。グローバル市場のどこで何を提供するのか、その答えがグローバル戦略である。

世界中のどこで何を提供するのか

 フラット化時代のグローバル戦略では、国という障壁を越え、地球規模での戦略構築が求められる。世界規模で事業を行うことで、製品単位あたりの原価を下げる「規模の経済」や、事業のシナジーを引き起こす「範囲の経済」を実現するだけでなく、世界規模でのイノベーションを起こすことも可能だ。グローバル戦略とは選択と集中であり、世界中の各市場(国、地域)と自社の各事業を選択し、同時にどの市場と事業を捨てるかの決断である。自社にとってのコア業務は何か、コア業務をグローバル市場のどこで行うのか、どの業務を取捨選択するべきなのか。オフショアやアウトソーシングなどの選択肢も豊富にある。

 つまるところグローバル戦略の方程式とは、世界中のどこで何を提供するかである。どの国の誰に対して何をどのように製造・販売し、業務提携やM&A(企業の合併、買収)を実施するのか。集中すべきは先進国か新興国か、富裕層か中間層か。販売すべきはグローバル製品かローカル製品か。ローカル製品であればどこまで現地のニーズに対応すべきか。そのためには経営機能である開発研究、製造、販売、流通を世界規模で位置付け、かつ継続的に見直す努力が求められる。

グローバル戦略の方程式
グローバル戦略の方程式
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