新日本石油と三洋電機は1月23日、薄膜型の太陽電池を開発、製造する合弁会社「三洋ENEOSソーラー」を設立した。出資比率は50%ずつの折半。三洋電機の研究開発本部がある岐阜県にマザープラントを設置し、2010年度内に80メガワット規模(設備投資は約200億円)での太陽電池の生産、販売を開始する。国内外で2015年度には1ギガワット、2020年度には2ギガワット規模の量産体制を目指す。
薄膜型は、従来の多結晶シリコン型の太陽電池と比べてシリコン使用量が100分の1程度で、太陽の光を電気に変換する効率が高いのが特徴。また、シリコンの材料不足などにより、シャープをはじめ国内外の企業が相次いで薄膜型の市場に参入している。新会社は、エネルギー変換効率の高い「HIT太陽電池」をはじめ三洋電機の持つ太陽電池に関する技術力と、新日本石油が石油精製で培ったガスの原材料技術や、アジアや中東、オセアニア諸国とのビジネスネットワークなど、両社の強みを生かし他社との差別化を図る。
同日の記者会見で、三洋電機の佐野精一郎社長は「(薄膜太陽電池は)30年以上にわたり技術開発を続けてきた実績、年間で300メガワットを超える生産体制とそれに伴う低コスト化、薄膜技術をベースとするHIT太陽電池で実現した高いセル変換効率などが強み」と同分野におけるリーディングカンパニーを主張。「すべてにおいて他社を圧倒している」と強い自信を示した。
新日本石油の西尾進路社長は「(世界的な経済危機で)短期的な影響はあるかもしれないが、太陽電池事業は数十年にわたり将来まで続くもの。懸念はない。米オバマ大統領が環境問題対策として推進する“グリーン・ニュー・ディール”も追い風になる」と意気込んだ。
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