猛威をふるう豚インフル、メキシコ進出の日本メーカーの対応は?
日に日に深刻さを増す豚インフルエンザの被害。今回の世界的な感染の発端となったメキシコに進出する日本企業に対策状況などを聞いた。
メキシコを震源地とする豚インフルエンザの感染被害が世界中に広がっている。スイス・ジュネーブにある世界保健機関(WHO)は4月27日(現地時間)、豚インフルエンザの警戒水準を、人から人への感染はないか、または極めて限定される段階「3」から、人から人への感染が増加している証拠がある段階「4」に引き上げた。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、メキシコには300社以上の日系企業が存在している。ヤマハ発動機は現地に2社のグループ企業を抱えるが、12人の日本人(駐在員5人、その家族7人)は現在のところ感染被害はない。今後の対策について「(現地では手に入りにくい)マスクを1万2000枚送付するほか、感染予防を啓発する現地語のポスターを掲載していく。日本を含め各国からのメキシコへの出張は当面自粛する」(広報部)としている。
飲料メーカーのヤクルトは、現地に赴任する邦人社員の家族に帰国指示を出したほか、日本からマスク4万枚を送付し、配布する予定だ。現地法人が生産、販売を行っているため、日本からの社員の出張はほとんどないという。
タイヤメーカー大手のブリヂストンは、メキシコへの出張を禁止するほか、北米(米国、カナダ)への出張も自粛としている。メキシコにある4つの工場は通常通り操業している。
ソニーは液晶テレビなど3つの製造拠点がメキシコにあり、約7000人(うち日本人は49人)の従業員が働く。現時点で決定している対策は「メキシコ・シティへの不要不急の出張を自粛すること」(広報部)としている。
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