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「上司に怒鳴られながら仕事した30年前、こうしたマネジメントはもはや通用しない」――東レ・橘氏エグゼクティブ会員の横顔(1/2 ページ)

国内営業18年間、海外勤務10年間仕事に打ち込んできた東レの橘氏は、3年前の2006年4月に米国子会社の社長から購買物流部門の物流部長として帰国を命じられる。製造業では地味な存在だった同部の組織および物流業務に改革のメスを入れ、社長賞を獲得するまでに育て上げた。

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 経営層に向けたコミュニティーを運営するITmedia エグゼクティブの会員を紹介する本連載。第3回は東レで購買物流部門・物流部長を務める橘真一氏に部下の育成方法、強い組織の作り方などを聞いた。


東レ 物流部長の橘真一氏。営業、物流の2部門で社長賞を受賞した
東レ 物流部長の橘真一氏。営業、物流の2部門で社長賞を受賞した

画期的な物流改革で、社長賞を獲得

――これまでの仕事の歩みを教えてください。

 1979年に入社して以来、ずっと営業畑を歩んできました。最初はフィルム事業部門に配属となり、途中米国での駐在を含め18年間在籍しました。1998年9月から樹脂事業部門に異動し、2000年12月には再度渡米して、子会社であるトーレ・レジン・アメリカ社の社長を務めました。

 これまで27年間営業一筋でやってきたわけですが、2006年4月に突如、購買物流部門への転籍を命じられました。まさに“青天の霹靂”の人事で、同僚からは「米国で何か失敗でもしたのではないか?」とやゆされもしました(笑)。慣れない部門で当初は戸惑いがありましたが、ちょうど改正省エネ法が施行されたタイミングだったこともあり、「環境最優先」をテーマに掲げた物流改革、イノベーションに乗り出しました。例えば、製品や原材料を輸入する際は海外から釜山港、上海港を経由して地方港上げを拡大、顧客企業との共同輸送を開始したりするなどして、二酸化炭素(CO2)排出量とコストの削減に取り組みを最優先で進めてきています。

 併せて組織にもメスを入れました。当時の物流部門は社内では地味な存在で、他部門との交流も多くはありませんでした。物流部長に就任して1年目には「笑顔みなぎる物流部」、翌年は「東レの物流部の社内外のステータスを上げる」といった標語を定め、部員のモチベーションを高めるなどして組織の活性化に努めました。

 わたし自身も、日本化学繊維協会(JCFA)の物流専門委員会で委員長を務めたり、日本経団連の運輸・流通委員会 物流部会メンバーになったり、国土交通省政策研究所との活動など、社外活動を積極的に行いアピールしました。

 こうした一連の業務改革、イノベーションが高く評価され、2007年度に会社創設以来初となる物流部単独での社長賞を受賞することができました。

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