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あなたは部下の強みを決めつけていないか?問われるコーチング力(1/2 ページ)

人にはそれぞれ他者には負けない強みが必ずあるはずだ。部下の強みを見つけ出し、最適な仕事を与えてあげるのがリーダーの役目である。

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 2008年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比で4.0%減少し、年率換算すると15.2%減少となった。これは戦後最大の減少率である。一方で、同日の日経平均は小幅ながら上昇した。想定よりもGDPが良かった、あるいは悪材料が出尽くして下げ止まったと、市場は見たのだろうか。

 戦後最大のマイナス成長にもかかわらず、株価は上がった。この現象から何が読み取れるか。それは、物事にはプラス面とマイナス面があり、現在のような変化の激しい時代には、さまざまな側面から物事を見る必要があるということである。実際、在庫調整が進み生産を増やしている企業も出ており、4月〜6月にはプラス成長に転じるのではないかという観測もある。

 大きな打撃を受けていた自動車業界でも明るい兆しが見える。本田技研工業(ホンダ)のハイブリッド車「インサイト」が、4月の新車販売台数で首位になったほか、トヨタ自動車が5月18日に発売したハイブリッド車「プリウス」は予約が8万台に上ったという。消費者の環境への関心が高まっている中で、彼らのニーズに応え、手に届く価格に抑えたことが良い結果を生み出しているといえる。

 悲観的なニュースを見てただ駄目だと考えるのではなく、新しい成長の息吹も出てきていることを見逃してはならない。物事の一面を見て考えるのではなく、多面的に現象をとらえる力が重要だ。

思い込みの怖さを知れ

 話は変わるが、今年1月に中央大学の教授が大学構内で刺殺されるという事件が起こり、先日、元教え子が逮捕された。元教え子は卒業後に大手食品メーカーに就職したものの、職場環境が合わず就転職を繰り返していた。元教え子は、就職や転職で失敗を重ねたことを教授のせいだと思い込み、犯行に及んだ可能性が高いという。

 程度の差こそあり、人には何かを思い込む傾向がある。物事の一面を見て、一度こうだと決めつけると、その考えから離れられなくなる。今回の事件はその象徴的な出来事ではないだろうか。他責ではなく自責、つまり原因は自分にあり、どのようにすればうまくいったのかを考えられる姿勢が身に付いていれば、このような事態にはならなかったはずだ。

 これはビジネスの現場における人の見方についても同様である。部下の一面しか見ないとなると、どうなるだろうか。リーダーとしてやりがちだが、最もやってはいけないことは、部下を自分の価値観に当てはめようとすることである。自分の価値観から外れる部下は駄目だと評価しない。こうしたリーダーは失格である。

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