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【第11話】渡りに船内山悟志の「IT人材育成物語」(2/2 ページ)

苦労しながらも、何とか課題の構造化を終えた3人はいつもの食事処に向かった。そこでは秦野と経営企画部の吉田部長が彼らを待ち構えていた。

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仲間が増える

 2人は、あれこれと議論しながらも、上位3レベルぐらいまでをイシュー・ツリーの階層構造でひも付け、詳細な部分はKJ法でグループ化したものをその下位に関係付けることができた。川口の助言を受けながらではあるが、2時間で課題の構造化が完了した(図1)。なるほど、イシュー・ツリーとKJ法を組み合わせるという方法は確かに合理的だと2人は感じたのだった。


<strong>図1</strong> 構造化した課題
図1 構造化した課題

 アイデアを収束させるのは非常に頭を使う作業だ。3人が片付けを済ませて、いつもの食事処になだれ込んだ。店に入るや否や「やあ川口。待っていたよ!」と秦野部長が奥の席で手を振った。

 秦野の同期である経営企画部の吉田部長のことは、3人ともスリムな本社の一員として見知っていた。秦野は経営企画部の若手2人を勉強会に参加させてほしいという吉田の申し出を川口に説明した。川口は「もちろんいいですよ。ちょうど課題の洗い出しととりまとめが終わって一区切りついたところですし、次回から実践する手法は2人ではやりにくいものなのでどうしようかと悩んでいたところでした」と快諾した。

 吉田は少し心配そうに「うちのメンバーは、情報システムやITについてはあまり詳しくないが、それでも大丈夫か」と聞いた。「ITは題材として扱っているだけで、専門的なことを取り上げるわけではありませんから問題ありません。むしろ、情報システム部以外の人の意見が入る方がよい議論ができると思います」と川口は力を込めた。

 川口の快い受け答えに、吉田はすっかり気を良くして「では、早速来週からうちの2人を参加させるので、よろしく頼むよ」と言って川口に握手を求めた。


著者プロフィール

内山悟志(うちやま さとし)

株式会社アイ・ティ・アール(ITR) 代表取締役/プリンシパル・アナリスト

大手外資系企業の情報システム部門、データクエスト・ジャパン株式会社のシニア・アナリストを経て、1994年、情報技術研究所(現ITR)を設立し代表取締役に就任。ガートナーグループ・ジャパン・リサーチ・センター代表を兼務する。現在は、IT戦略、IT投資、IT組織運営などの分野を専門とするアナリストとして活動。近著は「名前だけのITコンサルなんていらない」(翔泳社)、「日本版SOX法 IT統制実践法」(SRC)、そのほか寄稿記事、講演など多数。



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