10秒間まばたきしないでいられますか:見るものすべてを美しく
PCのモニター画面をじっと眺めてください。もし10秒間まばたきを我慢できないようであれば、ドライアイの可能性が大きいです。
あなたは10秒間、まばたきしないでいられますか?
このようなタイトルのCMを見たことがある方いらっしゃいますよね。そう、10秒間まばたきをしないでいられない場合、ドライアイである可能性が大です。ドライアイは、PCの画面などを長時間見続けることに加えて、最近ではエアコンによる空気の乾燥、ストレス、長時間のコンタクトレンズ装用など、涙を減らす数多くの原因によって引き起こされます。多くの現代人の悩みといっていいでしょう。皆さんはいかがですか? 10秒間、まばたきしないでいられますか?
我慢できないでパチパチしてしまった読者の方、今日は、何時間PCに向かっていますか。さらに目がしょぼしょぼする、こめかみが痛い、肩凝りや頭痛がするという方は、少し目を休めてリラックスしてください。そうした症状が続くようなら、ドライアイを専門に診る眼科専門医で一度チェックする必要があるかもしれません。
最近はライフスタイルや環境の変化により、さまざまな眼疾患が増えています。PCや携帯を見続けることによるドライアイは増加傾向にあります。また、失明にもつながる病気の糖尿病網膜症、緑内障、加齢黄斑変性も患者数が増えていています。ちなみに、緑内障は40代以上の20人に1人、糖尿病の前段階といえるメタボリック症候群は4人に1人の確率です。毎年3000人の方が糖尿病網膜症で失明されるというデータもあります。
快適な視力を目指して
「毎年、健康診断を受けているから大丈夫」と思われる方も多いのですが、健康診断で行う眼科検診は簡易的なものがほとんどです。眼圧だけでは緑内障は発見できません。詳細な検査をして初めて、早期に疾患が発見できるのです。緑内障、加齢黄斑変性などの失明につながる病気も、初期はまったく自覚症状がありません。気付いたときは遅かった、という悲しい例を数多く見ています。10年後、20年後、子どもの結婚式を見ることができない、孫の顔が見られない、そんな悲しいことが起きないように、40歳を過ぎたら眼ドックをお勧めします。
眼ドックはさまざまな眼科で行われていますが、わたしは、専門であるドライアイも含めておよそ13項目をチェックすることで、緑内障、加齢黄斑変性など失明のリスクのある病気の早期発見を目指すとともに、近視や遠視、乱視、老眼、白内障などの状態も詳しく診ます。目の疲れを軽減するための方法も紹介しています。最近では、新しい薬や治療法が生まれていますので、早期に発見すれば失明は多くの場合防ぐことが出来ます。また、近視、遠視、乱視、老眼による目の不調も多く、適切なケアで快適な目の状態にすることも可能です。
今回は、眼ドックについてご紹介しました。これから5回にわたり、眼科専門医としての立場から、最近話題となっている目の情報をお伝えしていきます。わたしは、眼科の中でもドライアイ治療と、レーザー手術で視力を矯正するレーシック手術を専門としています。最近では、一部のクリニックの報道からレーシックに関するネガティブなイメージをお持ちの方も多いと思います。次回は、「そのレーシック大丈夫?」と題して、レーシックを巡る話題を紹介します。
プロフィール
戸田郁子(とだ いくこ)
筑波大学医学専門学群卒業。専門分野は屈折矯正手術(近視・乱視・遠視手術)およびドライアイ。米国ハーバード大学留学ではドライアイの重症型であるシェーグレン症候群の基礎研究を行ってきた。
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