厳しいビジネス環境、コラボレーションこそが転換のチャンス:Lotusphere 2010 Orlando Report
肌寒い気候が続くフロリダ州オーランドで年次イベント「Lotusphere 2010」が開幕。Lotus事業の今後の方向性を示す内容となった。また、オープニングセッションの特別ゲストには「スタートレック」でおなじみの俳優が登場し会場を大いに沸かせた。
1月18日、フロリダ州オーランドのウォルトディズニーワールドでIBMの年次カンファレンス「Lotusphere 2010」が開幕した。今年で17回目となるLotusphereは毎年のように世界中から訪れる熱心なファンが多いことで知られる。今年は昨年よりも増え、参加者は7000人を超えた。参加者には受付時にLotusphereと記されたバッグが配布されるわけだが、会場では2006年版や2008版のバッグを背負った参加者も見掛けることができた。
米メジャーリーグ球団の春季キャンプが行われるなど温暖な気候が特徴のフロリダだが、今年は記録的な大寒波に見舞われた。オレンジをはじめとした農作物が凍結し損害額が数億ドルに上るなどの被害も出ている。この日の最高気温も例年より低く20度以下。会場がオープンした朝7時の段階では夜明け前で肌寒く、日が差していた昼間でも会場周辺のホテルリゾートにはほとんど人影がなかったほどだ。
オープニング冒頭でのアグレッシブなバイオリン&ドラム演奏に続き、基調講演に登壇したのは、Lotus ソフトウェア部門の前GMで、現在はソフトウェア事業部 ワールドワイドセールス担当責任者を務めるボブ・ピッチャーノ氏。昨年のLotusphereではオープニングを務めたが、このたびNotes/Dominoの開発とサポートを統括していたアリステア・レニー副社長にGMをバトンタッチした。ピッチャーノ氏は「2009年は厳しい経済環境だったが、今年はもっと素晴らしい1年になる。それを実現するのがコラボレーションだ」と力を込め、今回のLotusphereのテーマである「Lotus knows why Lotus knows how」を改めてアピールした。
答えはコラボレーションにある
勢いそのまま、特別ゲストの名前を叫ぶと観客のボルテージは最高潮に達した。舞台裏から登場したのは、映画監督であり、人気テレビドラマシリーズ「スタートレック」のカーク船長役などで馴染み深い俳優のウィリアム・シャトナー氏だ。
映画はまさにコラボレーションの産物である。シャトナー氏は「先日見た映画『アバター』には何万人ものスタッフ、何億ドルもの費用がかかっている。これをいかにまとめることができたのか。答えはコラボレーションだ」と述べ、「コラボレーションするためにはお互いへの尊敬の念が必要だ。わたしもできるだけ多くの人に挨拶し、協力することで問題解決を行ってきた」と自らの経験を語った。
人を中心に考える
企業の成長はコラボレーションなくしてあり得ないというのがIBMの1つの解だ。同社は2008年からグローバル全体での共通ビジョン「Smarter Planet」を提唱している。これは人類が今直面しているさまざまな課題を解決し、ビジネスや社会をより賢く効率化していくという考え方だ。ピッチャーノ氏は「重要なのは人を中心に据えることだ」と説く。
そうしたコンセプトに基づき、詳細は別の記事に譲るが、社員の生産性向上のための施策「Collaboration Agenda」や、将来のコミュニケーション・コラボレーションのあり方を示した「Project Vulcan」、クラウドサービス「LotusLive」やモバイルサービスの機能強化などが矢継ぎ早に発表された。
「(サービスや製品の導入にあたり)顧客は常に自社のCEOやCIO(最高情報責任者)、CFO(最高財務責任者)を説得するための材料を必要としている。われわれはコストを削減し、社員の価値を上げていくものを提供していくし、(今回発表した)サービスはそれを実現するだろう」(ピッチャーノ氏)
そう話し終えると、後任のGMとなるアリステア・レニー氏を紹介。「レニー氏は強い情熱を持っている。Lotusを去るのは寂しいが、長い間ともに働いてきた彼が新しいGMに就任するのを嬉しく思う」と強調した。レニー氏も「ピッチャーノ氏のこれまでの成功に感謝したい」と応じた。
引き続き本リポートでは、基調講演で紹介されたユーザーの先行事例をお伝えしていく。
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